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(sha side)
泣き疲れてしまったのか、Aは何か言いたそうだったが、俺の腕の中ですやすやと規則正しく寝息をたて始めた。
「シャオロン、A寝た？」
ゾムがAのほっぺをつつきながら聞く。
「おん、寝よったわ。布団に寝かしてくる。………Aのお布団どこや…」
「あ、晩御飯作ってる時に言っとったわ。たしか…こっちやったはず………あった」
トントンの案内で隣の部屋に行き、手際よく布団が敷かれるのを眺めていた。
「よし、こんなもんでええやろ」
「ありがとなトントン！」
布団の上にそっとAを下ろし、寒くないように優しく布団をかける。
彼女の目元が赤くなっているのに気づき、親指でそっと拭った。
『えへ…』と笑いながら手にすり寄ってくる辺り、確信犯ではないというのが恐ろしい。
「はぁ………かっわえぇなぁ。」
手を離したくなくて、屈みながら寝顔を眺める。
「シャオロンめっちゃ顔緩んどるよ。…毛布貸してくれるって言うてたから、俺らもありがたくお借りしよか。」
押入れから毛布を取り出しながらトントンが言う。
毛布を持ってリビングに戻り、皆黙ったまま酒を飲んだり、おつまみを食べる。
その沈黙を破ったのは、エーミールの一言だった。
「…彼女は、一体何を抱えているんでしょうか」
ぽつりと呟いたその一言に、俺らは少し考える。
「…結構、男女差別に思うところあるみたいよな。」
大先生が答えた。
確かに彼女は女性が低く描かれた文書や絵画によくイタズラを施している。
だが、そのイタズラの理由が何なのか。俺達にはさっぱり検討がつかなかった。
「何があったかなんて、俺らには聞く資格まだ無いやろ。言ってくれるまでゆっくり待っておこうや」
ロボロが優しい目で、隣の部屋を見ながら答える。
皆その通りだ。と返し、またゆったりとした飲み会の時間になった。
彼女を起こさないようにするためなのか、誰もいつものように騒いだりしようとしなかった。
数時間もすれば何人かが夢の世界へフェードアウトしていく。
毛布に包まったり、寝たやつにまだ起きているやつが毛布をかけてやったり。
俺もそろそろ限界が来ている。
無意識に船を漕いでいたようで、一番酒の強いロボロが毛布をかけてくれた。
「…Aのこと、色々ありがとぉな、シャオロン。」
「…ま、俺だからな。いーってことよ。」
にへ。と笑って返してやれば苦笑しながら、はよ寝ろ。と言われてしまった。
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作者名：一 | 作成日時：2022年12月14日 12時
