・ ページ16
『…実はね、少し勘づいてた。皆から好意があることに。…今日の午前中、とある人に指摘されてようやく確信に変わったんだ。人からこんな気持ちを向けられたことなかったからさ、皆との関係を壊したくなかったの。臆病でごめんね。でも、凄く温かいしとてつもなく嬉しいんだ。…まだこの気持ちに名前はつけれないし、誰とも決められない。だから、我儘を1つだけ聞いてほしいんだ。…もう少し待っててくれる？この怪盗業がちゃんと意味を持って終わった時、ちゃんと気持ちと向き合いたい。』
まっすぐに彼らを見つめ、正直な気持ちを話す。
なぜだか今にも涙が零れそうだった。
「俺等こそごめんな。急にこんな事言って」
シャオロンがぎこちなく頭を撫でながら続ける。
「俺等はちゃんと決めてるんよ。誰がAと付き合っても恨みっこ無しって。正々堂々勝負しようや。って。
…だから、ええんよ。どんだけ時間かかっても、誰か1人に決めれなくても。俺等はそんな優しくて、臆病で、可愛いAのことが好きになったんやから」
それに同調するように他の皆も頷いたり、微笑みを返してくれる。
優しい、温かい。皆大好きだ。
『…あ゛り゛がと゛ぉ』
どうしても堪えきれなくて涙が出た。
「何でAさんが泣くんですか」
少し笑いながらショッピくんが目元を撫でた。
「さ、まだまだ夜は長いで？飲み会の続きしようや！」
鬱が笑顔で誘ってくれる。
「Aこれ食べる？」
トントンが私のご飯を箸で一口とってこちらに向ける。
『た゛べるぅ。あー…』
「ふは。雛鳥みたいや」
ゾムの膝に乗せられたまま背中を優しく擦られる。
「ほい、おかずも欲しいやろ。骨あったらぺってするんやで？」
『ん……あー…』
ロボロが秋刀魚をほぐして骨のなさそうな所を一口大にして口に入れてくれた。
「ふふ、Aさん赤ちゃんみたいっすね。…もう俺我慢しませんから。本気でアピールしに行きますね。」
「おいショッピィ！抜け駆けすんな！」
「うわ、来た」
ショッピくんとコネシマが室内で追いかけっこをし始める。
「Aさん、お水飲みます？」
『ん゛ん。飲む…』
エーミールが持ってきてくれたお水を飲んで、ふぁあとあくびをする。
「お、Aチャンおねむやな。」
シャオロンがニヤニヤとしながら抱きかかえてくれる。あたたかい。
『まだ…起きてるの……皆のこと………だから…まだ…』
その先の言葉を紡げないまま、私は夢の世界へ意識を飛ばした
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：一 | 作成日時：2022年12月14日 12時
