それぞれの想い ページ15
膝の上にそっと座り、上を見上げると蕩けたような黄緑色と目が合う。
「んへ。Aええ匂いするなぁ……」
『ゾム酒臭い…あーあー目もとろとろになっちゃって…』
ゾムが腰のあたりを抱き締め、ぐりぐりと首元に頭を寄せる。
「…俺等もな、Aのやりたい事の邪魔する気は無いねんけど、同じくらい大好きで大好きで…離したくないんや…」
子供のように涙を浮かべ強請りながらゾムが聞き捨てならない言葉を紡いだ。
『大好き…かぁ…』
「おいゾム！それは俺達のやるべき事終わってから言うって約束やったやろ！」
コネシマがゾムの肩を掴み揺らす。
ゾムはぽろぽろと雫を零しながら抱きしめる力を強めた。
「いややぁ…！こんなに好きやのにA、全然気づかへんもん！…こ、こんなに俺等がぐるぐるした気持ちしとんのにAだけ平気な顔しとるのズルいもん！」
「…しゃーないな。皆、作戦変更や」
コネシマのその一言に皆がそっと近づいてくる。
「僕達、みぃんなAちゃんのことが好きやねん。僕もAちゃんの為やったら何でもできるんやで？」
鬱が少し自嘲したように笑った
「…勿論俺達は犯罪者や…明日無事である保証もできん…でも、それでも、好きになってもうたんよ…」
シャオロンが悲しそうにこちらを見つめる
「こんなにも人を愛おしいと思ったのは初めてなんです。…私にはこれを恋と呼ばずにいられませんでした。」
エーミールも眉を下げ困ったように微笑んだ
「小さいからとか見た目や無いんです。Aさんやからこんなに好きになったんです。」
ショッピくんが恥ずかしそうに顔を隠した
「お、俺まだ学生やけどな、絶対Aのことだけは手放したくないんや…」
ぎゅうと掴む力を強めてゾムが想いを吐露する
「…俺には愛だの恋だのよぉわからんねん……けどな、Aとジィちゃんバァちゃんになっても一緒におりたいんよ…」
コネシマがいつもの大声ではなく、小さくも素直に想いをぶつけてくれた
「俺な、初めて会った時からAのことが好きなんよ。まぁ…こうやってゾムに全部言われたのはちょーっと腹立つけど」
ロボロが雑面を取ってまっすぐにこちらを見る
「Aの心の整理も、俺達のやるべき事も、全部ちゃんと終わってからでええ。答え、聞かせてくれんか？」
トントンが優しい顔で手を握る
彼らがこうやってまっすぐに気持ちを伝えてくれたのだ。
なら私も、ちゃんと応えるべきだよね。
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作者名：一 | 作成日時：2022年12月14日 12時
