・ ページ11
『理由…ですか…？』
「そぉ。それはな……
単純に俺がAちゃんとお茶会したかっただけめぅ♡」
…驚きと呆れで思わず椅子から転げ落ちるところだった
『何なんですかその理由…』
「…ちゃんとした理由がなかったらお気に入りの子をお茶会に誘ったらアカンの？」
『…お気に入り…』
「うん。Aちゃんのこと俺もかなり気に入っててん。」
ニコニコとした何時もの笑みを少し崩し、緑色の目がゆっくりとこちらを見据える。
「ここは教会。警察も誰も安易には奥まで調べん。だからな…もし怪盗やめるとか、どうしても何もかもから逃げ出したくなったら、俺のこと頼ってや。」
な？と懇願するように手を取って言われる。
『……残念ながら、怪盗業は暫く辞めませんよ。まだ、娯楽を欲している人がいるから。多くの人にこの声と生き様が届くまでは、彼らと、貴方達と共に歩むつもりです。』
「…Aちゃん。本当に女神様みたいやね。白くて、きらきらで、汚れなんて1つもない…あいつらが狙うのも頷けるわ」
『生憎、私はそんな綺麗では無いですよ？……狙う？どういうことですか？』
「いや、それは……まぁ鈍感な猫ちゃんにヒントをあげるめぅ。
『それは勿論娯楽禁止条例の撤廃では？』
「まぁせやな。それ《も》ある。でも、あいつらが真に欲しい物。それはな、愛や」
『……は？』
「いや、よぉわからんのも無理はないな。ただ、あいつらは皆、元から孤独だったり、裏切ったり、裏切られたりで知らず知らずのうちに愛に飢えとんのや。そこにAちゃんって言う確かに愛をくれて、自分からも注ぎ込める器が来た。」
『私、愛なんて与えた覚え無いんですけど…』
「…困ったことに友愛も愛のうちやで。それに、Aちゃんのしっかり一本筋が通った活動理念にも惹かれたんやろな…あいつら皆、自覚してるにしろしてないにしろ、Aちゃんに好意を抱いとる。それを友愛と受け取るか、恋愛と受け取るかは君次第やで」
『……そう…ですか…』
「まぁ、突然こんな話されてもな。あいつらもそこまで短気やないし、本人らにちゃんと言われてからゆっくり考えてもええんやない？」
紅茶を押し寄せる事実と共にゴクリと飲みこむ。じんわりとした暖かさが胸のあたりに広がった。
その関係性を悪くないと思う自分がいるのも事実だ。
「おかわり、いる？」
『…えぇ、頂きます』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：一 | 作成日時：2022年12月14日 12時
