7.◯◯◯的には ページ8
『パンツ先輩、いい物件知りませんかね』
Aがバンズに具を挟めながら言う。
「だーからパンツ先輩って呼ぶなって。いい物件知りません」
接客しながらバガパンは、ん?と眉を顰めてしまった。
「いい物件って…どこで一夜過ごしたんだ?」
『ボスの家』
「ボスの家!?」
『の裏』
「の裏!?雨も風も凌げないじゃん!入れさせてもらえよ!」
『無理だ!』
深刻そうに告げるAの横顔にバガパンは怯んでしまう。よく考えれば、彼女はこんな時期に突然やってきた身…何かひとに言うに憚れるような、もしくは辛い過去…そんな事情があったのかもしれない。
「アンタ…」
『推しの家に勝手に入るなんて無理だ!』
「心配して損した」
『心配してくれたんですか!?なら先輩の家ください』
「ください?!泊まらせてくださいとかじゃなくて!?」
『え、異性と一つ屋根の下って何か起きそう』
「だから家主追い出すってか!起こさねーよ!誰がガキ相手にするもんか!」
『が、ガキ…!ムカつくけど事実だ……』
「まあ帰る家ないんだけど」
『ない!?』
ー なんてことだ…きっとパンツ先輩は過去に何か…そう、追い出されるような
いや、家出とかしたのかもしれない…家族と決裂して…あ、だから家ゲームでないのか…
「ちがうわ!ただシフトを作るまでもなく年中無休だから帰る場所必要ないんだよ」
『それは家族と決裂しているよりも酷いんじゃ』
そっか、ここで働いてたら家に帰る必要もないというか家が必要ないんだ……
『ブラックの中のブラックっすね』
「そうだよ」(迫真)
喋りながらも出来上がったピンクできらきら光るバンズ…が食欲を減退させるハンバーガー。これが人気商品…?
そういえば作ってても吐き気が来ない。感覚逝っちゃったのかな(笑)
笑えないよ。
『やっぱりこれが夢小説?トリップ的には周りがこう、優しかったり甘かったり都合よく、都合よすぎるくらいに出来事が進むべきですよ』
「よくわからないけど世の中そんなに甘くねーぜ」
『夢風に進めとか言わないからせめて推しには優しくされたい』
「踏まれて悦んでたじゃん」
『ダーリンって言われたい』
「無理無理…って、駄弁ってたらまたボスに怒られるぞ」
『無理って言わないでくださいよ!現実付きつけられたら泣きますよ!』
「いだだだだ!耳引っ張んな!耳!千切れる!死ぬ!感情的になって俺に当たるのはやめてくれ!」
涙目で絶叫するパンツ先輩の声は、ボスの耳に届いてるのかもしれない。
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とまと(プロフ) - 最後の更新日からかなり日数が経っていることは承知の上で言わせていただきます。この作品面白いです。もしもがあれば続きが更新されることを祈ります…べったべたな夢展開じゃないところに好感を持ちました。 (2月4日 23時) (レス) @page9 id: 9b2ace9749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:松田さん | 作成日時:2019年1月20日 12時