隣じゃなくて交換 ページ34
翌日。
早朝からゆっくりと集合場所に向かって歩いていたA。
偶然彼女の後方を歩いていた海はAに気付くなりすぐ声をかけようとAの肩へ手を伸ばしたが
《♪ 週末の大通りを 黒猫が歩く》
とAの携帯から音楽が流れたので
Aに話しかけようと伸ばした手をもとに戻してしまった。
自分の背後に海がいると気付いていないのか
Aは携帯を手にあたふたと慌てふためいている。
「どうしよう…」
そう言いつつも
きゅっと固く目を瞑り電話に出た。
「は、はい」
緊張しているのか声が少しうわずっているA。珍しい光景に海は目を疑った。
その間にも会話は進んでいたようでAはしきりに髪を指先でくるくると巻いたり耳に掛けては戻したりを繰り返している。
「あは。6日ですよね。ちゃんと覚えていますよ。」
楽しそうに話すAの声はいつもと明らかに違っていて聞いている方がいたたまれなくなる程に甘かった。
数分ほど話すとAは一言
「…好きですよ。」
とだけ言って静かに電話を切った。
はぁーっと一気に胸を撫で下ろしたAの耳は真っ赤に染まっていて
背後から見ていた海も何故か照れてしまった。
Aはそれから少し歩くと後ろから続く足音に気付きくるりと振り返り
「海先輩。おはようございます。」
足音の主が海だと分かるとその場で止まりぺこりと礼をした。
「おはよう。」
海も微笑みを返し隣に並ぶと他愛ない会話を始めた。
数分ほど二人で歩いていたが海が先程の電話について触れることはなかった。
目的地に到着し、Aは先に来ていた白井のもとへ駆け寄った。
「白井先輩おはようございます。」
「おはよう。」
二人は互いに微笑み全員が揃うまでの間他校マネージャーの話などをして盛り上がっていた。
一方海はあの甘い声を思い出しては赤面し誰かに相談するわけにもいかず一人悩んでいた。
しばらくして全員が揃いバスに乗った。
偶然Aの隣は海で、彼はそれに気付くや否や孤爪の肩をガッシリと掴み
「何も聞かずに席を代わってくれ!!」
と頼み込んだ。
状況が理解できない孤爪は困惑しつつも了承し二人の席が交換された。
「海先輩私がお隣は嫌でしたか?」
海の席はAの真後ろになり、前の席から少し不服そうな声が聞こえてきた。
「いや、そうじゃなくて…」
説明しようにもAの事を考えると大きな声ではとても言えないと考えた海は
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ろまじ(プロフ) - 奏天さん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。正直コメント拝見した瞬間あまりの勢いに動揺しました笑とても嬉しいですありがとうございます。 (2022年1月26日 20時) (レス) id: 18231af5bd (このIDを非表示/違反報告)
奏天(プロフ) - あぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ好きです(遺言) (2022年1月6日 18時) (レス) @page41 id: 115331bfc2 (このIDを非表示/違反報告)
ろまじ(プロフ) - コムギさん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。コメントとても嬉しいですありがとうございます。とてもゆっくりですが更新頑張りますね。 (2021年10月15日 23時) (レス) @page40 id: 18231af5bd (このIDを非表示/違反報告)
コムギ(プロフ) - この作品面白くて見てて楽しいので凄く好きです!更新待ってます!頑張ってください! (2021年8月19日 0時) (レス) id: 7b0ed3f04f (このIDを非表示/違反報告)
ろまじ(プロフ) - 豆さん» ありがとうございます。だいすきだと言っていただけてとても嬉しいです。お言葉を糧に更新頑張りますね。 (2021年1月14日 10時) (レス) id: 18231af5bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろまじ | 作成日時:2019年6月30日 22時