怖いじゃなくて散れ ページ30
翌日。
Aは朝早くに一人で登校し、自身のクラスではなく何故か3年5組へと足を運んだ。
教室の前に来ると中には入らずに扉のガラス部分に自身の携帯のレンズを向け、まるで携帯のカメラ機能で前髪を整えているかのような仕草をしつつガラス部分から見える教室の中を録画していた。
しばらくすると黒尾が友人達と登校してきた。
Aはそれに気付くと録画を終了し、携帯をスカートのポケットへと仕舞い込んだ。
教室前に居るAを見るや否や黒尾の友人数名がAへ話しかける。
「かっわいーね！君男バレのマネちゃんでしょ。ここでなにしてんの？俺と付き合わない？」
「ねぇ部活掛け持ちしない？！キミみたいなかわいいマネージャーバスケ部にも欲しいなぁー！それで行く行くは俺の彼女に…」
「やぁ。迷い込んでしまったのカナ？可愛いオ☆ヒ☆メ☆サ☆マ☆」
友人達のあからさま過ぎる態度に黒尾は笑いを堪えようと必死に口を手で覆った。
そんな黒尾を尻目にAはポケットから目薬を取り出し丁寧に両目にさすとそれをぽろぽろと流し
「皆さんお声が大きくて怖いですぅ…」
と所謂ぶりっ子のようなポーズ付きで言い放った。
Aに詰め寄っていた数名はAの目から流れる美しい目薬の雫を見るなり
「ごめん、泣かせるつもりじゃっ…」
「泣かないで…俺の未来の彼女…」
「なんて美しい涙…それを流させることができるのはボクの特権…ダネ♡」
と口々に言い始める。
「ブフォぁッ！」
「…ﾁｯ。」
黒尾はついに吹き出してしまい、Aは思い通りの反応が帰ってこなかったからか笑顔で舌打ちをした後
「あは。散れ。」
の言葉だけでAの周りに群がっていた数名を退けてみせた。
「最初からこうすれば良かったです。」
少し不機嫌そうに呟くA。
「はよ。マネちゃん。すげぇ面白かったぜ。」
そんなAにニヤニヤとしながら話しかけた黒尾は
「用事は済んだか？」
とAに尋ねた。
「はい。ご協力ありがとうございます。」
Aは微笑むと丁寧に頭を下げてから去って行った。Aの背中を見送りながら黒尾はつい先程のAの微笑を思い返す。
確かに微笑んでいるはずなのにどこか恐怖を感じずにはいられないような微笑。
そう表すのがきっと適切なのだろう。
「年下こえぇー。」
何を思ったのか黒尾はそれだけ呟くと自身の教室へ入って行った。
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ろまじ(プロフ) - 奏天さん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。正直コメント拝見した瞬間あまりの勢いに動揺しました笑とても嬉しいですありがとうございます。 (2022年1月26日 20時) (
レス) id: 18231af5bd (このIDを非表示/違反報告)
奏天(プロフ) - あぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ好きです(遺言) (2022年1月6日 18時) (レス) @page41 id: 115331bfc2 (このIDを非表示/違反報告)
ろまじ(プロフ) - コムギさん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。コメントとても嬉しいですありがとうございます。とてもゆっくりですが更新頑張りますね。 (2021年10月15日 23時) (レス) @page40 id: 18231af5bd (このIDを非表示/違反報告)
コムギ(プロフ) - この作品面白くて見てて楽しいので凄く好きです！更新待ってます！頑張ってください！ (2021年8月19日 0時) (レス) id: 7b0ed3f04f (このIDを非表示/違反報告)
ろまじ(プロフ) - 豆さん» ありがとうございます。だいすきだと言っていただけてとても嬉しいです。お言葉を糧に更新頑張りますね。 (2021年1月14日 10時) (レス) id: 18231af5bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろまじ | 作成日時：2019年6月30日 22時
