無理にじゃなくて送りたい ページ29
「昨日Aちゃんの家から結構近いところで不審者出たのよ。捕まってはないみたいでね。だからわざわざ遠回りさせて合流したんじゃない?ほら。あっち側って交番とかあるでしょ。」
白井は何故か誇らしげに黒尾へ説明してみせた。
「確かに…え。そう考えると結構前からマネちゃんに自分から話しかけたり暗いときは送ったり…研磨めっちゃわかりやすいな!?」
黒尾は孤爪の今までの態度を振り返り疑問が解答へとしっかり変わったようだ。
「ふっくしっ!…何か、嫌な感じする……」
黒尾が孤爪の話をする一方でAの隣を歩いていた孤爪は小さくくしゃみをした。
「あは。どなたか孤爪君の噂でもしてるんですかね?」
楽しそうに話すAに対し夜久は
「嫌な感じって悪寒か?風邪には気をつけろよ?」
と心配そうにしている。
「多分大丈夫。…あ。」
夜久に言葉を返した孤爪は何かに気付いたようで少し目を伏せた。
「どうかしたんですか?」
不思議そうに見つめるA。
夜久も疑問符を浮かべたが何かを察したようで
「あぁ〜!俺今日早めに帰んないとだった!ごめん研磨!Aのこと家まで送ってやってくれ!」
とあからさまに大きな声で言い放つと想像を絶する速さで走って帰ってしまった。
呆然と二人。しばらくすると孤爪が口を開いた。
「送ってく。家まで。」
「え、でも孤爪君のお家通り過ぎちゃいますよ?送るよう言われたからって無理に送ってくださらなくて良いんですよ?」
気を遣うように話すAに
「夜久くん帰ったし、心配だから。無理にじゃなくて…送りたい。」
と真っ直ぐに目を見て話す孤爪。
「えと、じゃあお言葉に甘えさせてもらいますね。」
微笑むAに
「うん。」
孤爪も微笑み返した。
二人で駄弁りながら歩き、Aの家が近づいてきた頃。少しの間の沈黙がありそれを破るかのようにAが口を開いた。
「孤爪君。ありがとうございます。」
その言葉を聞いて不思議そうにする孤爪を見たAは
「今朝先生から不審者のお話されたでしょう。あれ私のお家の近くで出たんですって。実はちょっと怖くて、孤爪君がいてくれて良かったです。」
と笑顔で続けた。
「でも俺じゃ多分、頼りないよね。」
目を伏せる孤爪。
「いいえ。孤爪君がいれば安心です。いつも周りをしっかり見ていますし一緒だと落ち着きます。」
その言葉に孤爪は
「そっか。」
とだけ返したが照れくさいのか嬉しいのか彼の耳は赤く染まっていた。
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ろまじ(プロフ) - 奏天さん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。正直コメント拝見した瞬間あまりの勢いに動揺しました笑とても嬉しいですありがとうございます。 (2022年1月26日 20時) (レス) id: 18231af5bd (このIDを非表示/違反報告)
奏天(プロフ) - あぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ好きです(遺言) (2022年1月6日 18時) (レス) @page41 id: 115331bfc2 (このIDを非表示/違反報告)
ろまじ(プロフ) - コムギさん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。コメントとても嬉しいですありがとうございます。とてもゆっくりですが更新頑張りますね。 (2021年10月15日 23時) (レス) @page40 id: 18231af5bd (このIDを非表示/違反報告)
コムギ(プロフ) - この作品面白くて見てて楽しいので凄く好きです!更新待ってます!頑張ってください! (2021年8月19日 0時) (レス) id: 7b0ed3f04f (このIDを非表示/違反報告)
ろまじ(プロフ) - 豆さん» ありがとうございます。だいすきだと言っていただけてとても嬉しいです。お言葉を糧に更新頑張りますね。 (2021年1月14日 10時) (レス) id: 18231af5bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろまじ | 作成日時:2019年6月30日 22時