音駒の激強マネ

浮気じゃなくて更衣室 ページ25

放課後の部活動。Aは誰よりもはやく体育館に向かい、準備を着々と進めていた。

「ぁーす。…あれ？マネちゃんはやいね。」

「お、おおｘｋうえましやかねッ？！」

「…耳が。」

そこに黒尾と山本と孤爪の三人が来た。
山本は顔を真っ赤にしてAの前で手を出し

「かかか、っクァわりますッ！！」

Aは半分引きずるようにして持っていた
ネットを山本に差し出すと

「ありがとうございます。助かります。」

と微笑んだ。

次々と人が集まってきている中で
Aに手招かれた黒尾は隅で何かを話し合う。

「こんにち……浮気？」

少し遅れて来た白井はそんな状況を見て神妙な面持ちで口を開いた。
Aは白井を見て一瞬複雑そうな顔をしたがすぐに笑顔になり

「あは。違いますよー。では黒尾先輩、お願いしますね。」

と一言だけ発すると黒尾にペコリと例をして白井のもとへかけていった。

黒尾は少し考え込むような素振りを見せたが、
すぐに手を叩き

「はいはい集まって。とりあえず灰羽は今日もレシーブ練で…」

と指示を出していった。

Aと記録を取りながらも白井は先程の黒尾との会話が気になるようで落ち着きのない様子が続いた。

部活動を終え先に白井達が更衣室へ入る。

「あの。」
「ねぇ。」

Aが鍵を閉めると二人同時に口を開いた。

「お先にどうぞ。」

白井はAの言葉に頷くと

「この間Aちゃんは理想の人？を教えてくれたじゃない。あれは適当に考えただけで実は鉄朗のこと…す、好きなん、じゃないかな…って思う、んだけど…」

「それに、好きな人いないって嘘なんでしょ。」

と気まずそうな表情をした。

「…好きな人がいないのは嘘です。ごめんなさい。でも、その好きな人は黒尾先輩じゃ無いです。」

Aは淡々と答え、着替えはじめた。
白井も慌てて着替えながら会話を続ける。

「でも、それだけじゃ私、はいそうですかとは言えないよ…」

とても不安そうな表情の白井を見てAは
少し考え込むと意を決したかのように

「先輩、これ見て下さい。」

と携帯のロック画面を見せた。
そこには金色の短髪で眼鏡をかけ少し困ったような表情の少年とその隣で楽しそうに笑うソバカスのある少年が映っていた。
見たところ、眼鏡の少年の方が背が高いようだ。

「え。この人って。」

「私の理想の人です。ずっと前からこの人が大好きなんです。」

優しく微笑んだAの目は彼がとても愛しいと言わんばかりだった。

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