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放心じゃなくて本鈴 ページ21

「何を?」

首を傾げ尋ねる犬岡に
なんの悪びれもなさそうに灰羽が答える。

「ブラジャー!」

その一言で犬岡は顔を真っ赤に染め
硬直し放心してしまった。

「なんかいつも畳んだ制服の下に隠してるらしいんだけど制服ごと持ち上げたりすると落ちたりしちゃうんだって!」

それに気付かず話を続けながら
教室まで向かう灰羽。

数秒して犬岡からの反応が一切無いことに
気付いた灰羽はふと振り返る。

すると視線の先に硬直している犬岡が映った。
灰羽が慌てて犬岡の元へ走り何度も声を掛けて
やっと犬岡の意識が戻った頃。

犬岡が放心する要因の一人であったAは
自分の席に姿勢良く座り友人達と談笑していた。

「あは。今日も皆さんのお話は楽しいお話しばかりですね。そろそろ予鈴が鳴ってしまいますよ。」

Aがそう言うと席の周りに集まっていた
数名の女子がぞろぞろと自分の席へ戻る。

「Aちゃんまた休み時間話そー!」

一人の女子が自席からAに話すと

「私もー!」

と何人もの女子が手を挙げる。
そしてそのうちの一人がふいに

「ねぇ!Aさん!今日のお昼は私と二人で食べない?!」

と声を出した。すると

「ずるい!抜け駆けは半殺()しよ?!」

「そうよ!Aちゃんはみんなの天使でしょ!」

と批判の声が飛ぶ。

「あの、よろしいですか?」

そんな中Aが口を開くと
教室内がシンと静まった。

「お気持ちは嬉しいですが私は天使ではありませんしましてや皆さんのと言われるほど素晴らしい人間でもありません。もし、こんな私を好いてくださっているのでしたら…」

そこまで言って目薬をさすと
器用にぽろぽろと涙のように流し

「私のことで、争わないで下さい。」

と言い放った。
それを見て今まで争っていた女子達が

「はぁい♡」

と一斉に席につく。

男子はAに立ち上がって拍手を送る。

すると丁度いいタイミングで
担任が教室へ入ってきた。

「君ら毎日やっててよく飽きないな。
はい。男子は座って下さーい。授業始めるよ。」

どうやらこれは二年毎朝恒例の
儀式的なもののようだ。

一方やっと意識のハッキリとした犬岡は
灰羽と共に教室まで走った。
灰羽はなんとか間に合ったようだが犬岡は
(みずか)らの教室の手前で本鈴が鳴ってしまい担任に叱られてしまったようで

「気になったからって聞くんじゃなかったぁ…」

と肩を落としていた。

最後の晩餐じゃなくて恐怖→←制服じゃなくてプライバシー



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ろまじ(プロフ) - 奏天さん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。正直コメント拝見した瞬間あまりの勢いに動揺しました笑とても嬉しいですありがとうございます。 (2022年1月26日 20時) (レス) id: 18231af5bd (このIDを非表示/違反報告)
奏天(プロフ) - あぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ好きです(遺言) (2022年1月6日 18時) (レス) @page41 id: 115331bfc2 (このIDを非表示/違反報告)
ろまじ(プロフ) - コムギさん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。コメントとても嬉しいですありがとうございます。とてもゆっくりですが更新頑張りますね。 (2021年10月15日 23時) (レス) @page40 id: 18231af5bd (このIDを非表示/違反報告)
コムギ(プロフ) - この作品面白くて見てて楽しいので凄く好きです!更新待ってます!頑張ってください! (2021年8月19日 0時) (レス) id: 7b0ed3f04f (このIDを非表示/違反報告)
ろまじ(プロフ) - 豆さん» ありがとうございます。だいすきだと言っていただけてとても嬉しいです。お言葉を糧に更新頑張りますね。 (2021年1月14日 10時) (レス) id: 18231af5bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ろまじ | 作成日時:2019年6月30日 22時

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