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「…あ、たっちゃん、でた」
「出たってなに？」
「もう寝ちゃったかとおもったから」
「もう寝るとこやけど。
隣の小川さん寝たし」
「えっ！うそ！ごめん！」
久しぶりに会えたたっちゃんとの、さっきの別れ方に
なぜかモヤモヤしてずっと消えなくて。
その勢いのまま電話をかけたら、
2コールくらいでたっちゃんは出た。
「……どうしたん」
「…あ、えっと、ね」
「うん？」
もう寝るところなのに、
こうやって聞いてくれるたっちゃんは昔から変わらず
ずっと優しい。
「かっこよかった！今日！」
「え？」
「なんか、久しぶりに会えたのにわたしが勝手に藍くんの話しちゃって、言えてへんかったからモヤモヤしててん」
「別にええのに、そんなん」
照れたみたいな笑い声が聞こえて安心する。
「日本代表、やっぱりすごいね」
「そうやな、それはほんまに俺も思う」
現実じゃないみたいやし、
そんなことを言うたっちゃんに、いつものはにかんだような笑顔が浮かぶ。
そんなたっちゃんに、高校生の時みたいに話を持ちかける。
「あ！そういえばね、たっちゃん」
「何、急に声でかいって」
「さっき、藍くんと喋ってた時にな」
「うん」
「明日の試合、俺だけ見とってって言われてん！」
「……」
「たっちゃん？聞こえとる？」
「聞こえとる」
「そんでな、最初は、キャー！って思って、
こんなかっこいい人はじめてや！って思ってんけど」
「うん、笑」
「よく考えたらわたしさ、バレーみる時ほとんどたっちゃん以外見たことないねやんか」
「……」
「やから、どないしよって思って
たぶん、たっちゃん見てまうと思う」
「……それわざと言っとる？照れさす気？」
「え！？照れた！？！笑」
「うっさいわ、はよ寝、俺も寝る」
わたしがかっこいい人について話すのなんて珍しくもないし、いつも笑って聞いてくれとったのに、
今日は返事がどんどん小さくなるし、急に黙り込むし、
「なんか変なたっちゃーん」
「はいはい」
「わたしに見られてるん今更恥ずかしなったん？笑」
「はいはい、
…Aさ、明日帰る？」
「ううん、まだ帰らん」
「それやったらさ、会お、外で」
「外？」
「ちょっとくらいは抜けさしてもらえると思うし」
「そうなん？いいよ」
「ん、じゃあまた明日連絡する、おやすみ」
「んふふ、おやすみ、明日も頑張ってね」
いつもと少し様子が違ったけど、
やっぱりたっちゃんと話してると落ち着くなあって改めて再確認した。
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続く
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作者名：海松 | 作成日時：2024年2月15日 23時
