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．
｢大塚、どうした？｣
インタビューやらミーティングやらが全て終わって
部屋に戻る。
正直、さっきのことが頭の中でぐるぐるして離れへん。
藍を見てかっこいいって言うたAは、
俺が何度も見てきた目をしとって。
何度も見たはずやのに、相手が藍やからか
冷や汗が止まらんくなって、
心拍数も自分でもわかるくらいはやなった。
藍はほんまに完璧で、性格もええし、顔もええし、
バレーももちろん上手いし、言うことがない。
そんな藍がもし、Aのことを好きになったら
そう考えただけで、焦りと不安で頭ん中がぐちゃぐちゃになった。
．
｢大塚、
…大塚！！｣
｢えっあっええぇ？！｣
ひとりで考えすぎていたのか、
同部屋の小川さんに呼ばれてやっと話しかけられていたことに気づく。
｢ええぇ？！じゃねえよ、
さっきから俺の質問聞いてなかっただろ｣
｢…すいません、聞いてませんでした｣
｢はあ。
大塚お前なんかあっただろ今日。
試合の時は普通だったよな？｣
｢………なんもないっす｣
｢そんな顔で言われても説得力ありませんけどー｣
いいから話せ、
半ば強引にそう言われ、渋々口を開いた。
｢……小川さんって好きな人いますか｣
｢なに？恋バナ？笑｣
大塚が？なんてヘラヘラ笑う。
｢やっぱりいいっす寝ます｣
｢ごめん、ちゃんと聞く｣
．
｢……で？｣
｢で？｣
｢お前はどうしたいんだよ｣
｢それがわからんくて、今なやんでるんすよ〜……
今まではこう、言い方あれやし彼女には悪いけど、
絶対別れるやろなっていう安心感がちょっとあって、｣
｢最低だな。｣
｢…すんません。｣
｢でも今回はそうはいかなそうだから焦ってんの？｣
｢………はい。｣
｢伝える気はあんの？好きって｣
｢…………｣
｢大塚ダセーありえなーいダッセー｣
｢ありまっ、いや、でもっ、あー、あ〜〜〜〜っ！｣
俺の反応を見て、小川さんが腹抱えて笑う。
｢取られたくない、でも好きって言えない、
そんなんじゃすぐかっ攫われちゃうよ、ダサたつのりくん｣
口も悪いしすぐ馬鹿にしてくるけど
小川さんに言われたことは全て的を得ていた。
いつまでも今の関係が続くなんてありえへん。
そのうちAが結婚なんてしたらもう。
やから、取り返しがつかへんくなる前に。
｢……小川さん、俺頑張ります。｣
｢おー、がんばれ｣
じゃ、俺寝るわ
大塚も早く寝ろよー
そう言って小川さんが眠りについた直後、
電話を知らせる音が鳴った。
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作者名：海松 | 作成日時：2024年2月15日 23時
