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ずっと、見とった。
洛南側の、早稲田側の応援席におるかわいい女の子。
かわいいなあって見とったら、たつのりさんが下から手を振って、それに嬉しそうに返してた。
終わった後もたっちゃんおつかれさまって嬉しそうにたつのりさんに駆け寄ってんのを見かけて
ああ彼女かって。たつのりさんあんなかわいい彼女おるんかよって。
高校ん時も、大学ん時も、
勝手に、一目惚れみたいなんして、勝手に失恋しとった。
やけど、もしかして、チャンス、まだある感じやったりするんかな。
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．
わたしの前に突然現れたその人は、
とてもかっこよくて、それでいてとてもフレンドリーで、
高校の時に大好きだったあの人に似てるなあ、とか
いやそれよりもっと、とか
どっちでもいいけど、
一瞬にしてわたしの頭の中を埋めつくした。
たっちゃんが呼ばれて行っちゃって
久しぶりに会えたのにって寂しかったけど、
これってもしかしてチャンスなんかなって
いつもみたいにたっちゃんが背中押してくれたんかなって
そう思ったら、逃すわけにはいかんくて
今できる精一杯をして帰ろうって決めた。
「えっと、あの、」
「？」
「……さっき、みてて、かっこいいな、って思って」
「え」
「あ、ご、ごめんなさい！」
「ふふ、いやいや、嬉しい」
はにかんだみたいに笑う顔がかっこいい。
キラキラして、まぶしい。
「ていうか会ったことあるやんな？」
「え、ほ、ほんまに？」
「うん、少なくとも俺は見たことある」
「…えっ、えっ」
「高校ん時から、何回かたつのりさんと会場で会ってんで」
ほんまに俺のこと知らん？
って聞かれるけど、本当に今日が初めてだったから
申し訳なくなる。
「えっうそ！？ごめん、なさい
わたし、バレーあんまわかんなくて…
たっちゃんしか、見てなかったから」
もっとちゃんと見とけばよかった……
藍くん、からの発言に少し後悔。
ルールとか、そういうのは見てるうちになんとなくわかって
それなりには楽しく見てたけどいつも上の方からやったし、当時は特に、たっちゃん以外の人の顔なんて全く見てこなかった。
すると藍くんはわたしを覗き込むようにして聞く。
「……明日も来る？」
「あっ、はいきます！」
「やったらさ、」
「？」
．
「明日の試合、俺だけ見とって？」
「……っ、」
．
助けてください神様。
こんなかっこいいひと、はじめてです。
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作者名：海松 | 作成日時：2024年2月15日 23時
