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元々イケメンに目がないAに藍が見つかるのは
どこかで予想していた通りで、そこまで驚かへん。
けどやっぱりAのこの表情を見るのは何年経ってもつらい。
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昔からAの付き合う男は大抵スポーツをやっていて、
野球、サッカー、テニス、バレー。
毎回Aは本気で好きになって、ちゃんと恋をして、
いいんか悪いんか、彼女の見た目からだいたいその恋は実ってた。
けど、本気でまっすぐ恋に向き合う彼女と、
彼女と付き合うというステータスだけを欲しがる男との温度差は傍から見ていても明確で、よく泣かされとったし、そのたびに恨んだ。
「…っ、たっちゃん、また浮気、や、」
「……ん」
「わたし、っ、そんな魅力ないかなあっ」
「そんなことない」
「っほんまに好きやってん、」
「ん、せやな」
「でもこんなんっ全部無駄やったっ」
「無駄ちゃうやろ」
「…え？」
「Aがほんまに好きで、頑張ったんやろ？」
「うん、」
「やったら、無駄ちゃうよ。俺が保証する」
「…なにそれ、意味わからん」
「はあ？」
「たっちゃんのくせに、かっこいいこと言うやん」
ふふーって笑う彼女を、幸せにするのは俺やったらよかったのにって何回思ったことか。
こうやってすぐ俺に泣きついてくるくせに、
一度だけ、拍子抜けした出来事があった。
それは高校の時、Aがバレー部の先輩と付き合っとった時のこと。
「別れた。」
「えっ、」
「最低！なんで好きやったんやろ！」
「……また、浮気されたん」
「ちゃう、たっちゃん」
「…俺？」
「たっちゃんのこと、あんなに贔屓されとんのは身長のおかげやとか、俺の方がほんまはもっとできるとか。
何を抜かしとんねんって」
「いやいや、まってA」
「やから言ったってん、たっちゃんの身長は才能やし、アンタの何億倍もバレーうまいし、世界にいく男やねんからって」
「……先輩になに言うてくれとんねん」
「どうせすぐ引退やもん」
「そうやけどさ」
「わたしは、たっちゃんのこと悪く言う人、いちばん嫌い」
「……」
「やから、別れた」
あー！腹立つ！
ぷんぷん怒っとるAに、ちょっとだけ笑う。
きっと、先輩は幼なじみでずっと近い距離におる俺に嫉妬してそんなこと言うたんやと思う。
そんなん当たり前にわかっとったけど、彼女からの言葉が嬉しくて、
ずっと彼女の中の世界一のバレー選手であろうと思ったし、なれると思っとった。
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作者名：海松 | 作成日時：2024年2月15日 23時
