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「…りょこう？」
「おん、行きたいなーって思ってんねんけど」
わたしも藍もお休みの日の昼下がり、
シーズン終わるし、どう？
ってきゅるっきゅるの顔で聞いてくる彼。
「え、行きたい！」
「ふふ、行こや」
「え〜ほんとに？いいの？」
「当たり前やん、俺から誘ったんやし」
温泉とか行かん？って！
なにそれ、最高！最高！
「Aちゃん、嬉しいんはわかるけどなんか言って笑」
「…ごめん、嬉しすぎて噛み締めてた」
「なんやねんそれ」
「決定でいい？」
「もちろん！お泊まり？」
「旅行やねんから当たり前、何泊する？」
「えっ、え〜〜、、」
．
蟹食べたい！とかフグ食べたい！とかやっぱりお肉食べたい！とか、たくさんわがままを言いながら
2人で行きたいところを絞った結果、
ご飯が美味しくて、露天風呂付きの部屋のあるとても素敵な旅館を藍が予約してくれて。
「やばい、たのしみ！」
「ふふ、俺もむっちゃ楽しみ」
残りの試合頑張れる、なんてにこにこしながら言うから
彼への愛おしさが増して、思わず抱きつく。
「なあに、珍しいやん」
「やだ？」
「それ、俺の真似？」
「うん笑、藍いつも、あかん？って聞いてくる」
「おちょくらんといて」
「へへ、残りの試合、がんばってね」
「当たり前、ぜんぶ勝つ」
目を合わせて言うと、自信満々に答えてくれるから頼もしい。
「お泊まり、楽しみやな」
「うん、まあいつも一緒に寝てるけどね」
「露天風呂、一緒に入れるって」
「一緒に入るの？」
「え、なんのための露天風呂付きの部屋やと思ってるん？」
「えー、藍変なことしそうでやだー」
「俺のことなんやと思ってんねん」
「しないの？」
「すると思う」
こんなふざけた返事に怒ってやろうと思ったのに、
浴衣のAちゃん、絶対かわいい って
真剣な目で言われて、
楽しみやな？ って
ちょっと含みを持たせた目で見つめられれば
どきどきして、吸い寄せられるように唇がぶつかる。
ちゅっ、と音を立てて離れて、
わたしの目を見つめて、藍のおっきな手で顔を包まれて。
またゆっくりと唇が重なる。
「……んんんん、んーー！！」
思いのほか長いキスに苦しくなって肩を叩けば
ヘラヘラ笑って唇を離す。
「…長い、バカ」
そう言うと次はわたしの手を取って指を絡めて
「藍、なに、」
「スイッチ入っちゃった」
なんて次は舌を入れてくる。
「っん、ん、、」
「かあわい」
いつまで経っても、この年下男に抗えない。
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作者名：海松 | 作成日時：2024年1月21日 1時
