【名探偵コナン】防弾チョッキがない【男主】

とりあえず8 ページ9

*


「起、きた？」




目を開くと眩しい日差しと、大きめの長袖のパーカーを身に纏ったあの男の子がいた。たまたま俺を見ていたのか、暫く見られていたのか定かではないがパチリと今確かに目があう。


あのとき全てを置いて逃げた筈なのに、なぜ。まさか、失敗したのか。それで、この子と会っていたことがバレて、無実の子供共々捕まってしまったのか。


あぁ、そうだ。携帯はどうなったのだろうか。俺はきちんと左胸を狙っ......、て？




「...いろいろ、混乱してるだろうし、聞きたいこともあるんだろうけど、とりあえず。」


「...」


「ナースコール。ね？」









「つまり、君は俺がその"怪しい真っ黒な男"にやられそうになっていると思ってライフルをぶっぱなした、と...？」


「...」


「無言は肯定と受けとるからな。...なら、どうやって俺を此処まで運んだんだ？真っ黒な男はどうした？」




そう尋ねると少年は親に怒られるのを覚悟した子供のように首を竦めて上目遣いで俺を見上げてきた。くそ、可愛い(現実逃避)。


しかしその可愛さは次の彼の言葉で砕けて無くなる。




「...建物に、」


「建物に？」


「少し、...火をつけました。」




成る程、それならライも逃げるな。


あまりの答えに俺は遠い目をして現実から逃げることにした。とうの男の子はそれしかなかったんだ、と必死に目で訴えてくる。いやだがしかし放火は頂けないな。




「...あと、オニーサンに謝らないといけないことがあって。」




オニーサンのこと撃ったのおれ。
本当にごめんなさい。


成る程、道理で左胸ではなく右腕と右足に包帯が巻かれているわけだ。

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