【名探偵コナン】防弾チョッキがない【男主】

とりあえず5 ページ6

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それは、本当に偶然が重なっただけだった。


俺の“本来”所属する組織ではなく、潜入している組織の命令で仕事に出た帰り。


俺は、人を救いたくて。この生まれ育った日本を守りたくて選んだ道が、救うどころか後に戻れないところまで来てしまって。この手で、引き金を引いて人を。


初めての感覚ではなかった。これまで何度もそうして、立場が違えば生かすことが出来た人も、そうやって。


それが最終的に俺が守りたいこの国を守ることに繋がるのだろうけどどうしても、それが正解だと思い込むことが出来なかった。疑い疑われるこの世界に、どうしても馴染むことが出来なかった。


そんなセンチメンタルな俺が見つけたのは小学生未満であろう小さな子ども。子どもの起きている時間ではなかったし、周りに親らしき人物は見えない。誘拐だとしても手足も口も自由にするだろうか？


廃墟で崩れた瓦礫の上に腰を下ろして月の光を浴びる子どもを見て、無性に泣きたくなったのを数年経った今でも覚えている。


お母さんはいない。


そう伝えた子どもの表情は、悲しんでいるわけでも、怒っているわけでもなくて。ただただ、なぜそんなことを聞くのかと言う疑問がありありと浮かんでいた。


まるで、母親という存在がいないのが当たり前だ。そう言っているように見えて、気付いたら初めて出会った時間と同じくらいにその廃墟に足を運んでいた。


聞いているのかいないのかはっきりしない横顔を見ながら、ひたすら返事のない質問や俺の話を続けること数年。俺はやっぱり任務に慣れることができなかった。


それが仇になったのだろう。俺は唐突にNOC疑惑をつきつけられることとなった。

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