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「怪我は?!近付いたりしてないよな!?」
あまりの力強さに顔を顰める。
だけど、悟の青褪めた表情と揺れている蒼い瞳を見て夏油君の言葉が脳裏を過ぎった。
ー「君に何かあれば悟は形振り構わず暴れる。」
ー「君が死んだら世界を呪うだろうね、呪って呪って壊して最終的には自身の命すら断つ。」
あの時は夏油君が言い過ぎなだけだと思っていたけど
『(冗談なんかじゃないって事……?)』
今の悟を見て思う。
きっと夏油君の言っていた事は本当なんだと。
「A、やっぱりどっか怪我してんの?それなら硝子のとこに行こう。」
『怪我してないし近付いたりもしてない、だから落ち着いて。』
「……焦った………ごめん、かなり強く肩掴んだね。」
縋る様に抱き締める悟に大丈夫だと言い、私も気になっていた事を聞いた。
『私の話した呪霊……思い当たる節があるの?』
「…何で?」
『悟の表情がそんな感じだったから。』
そう言えば悟は私から体を離し、困った様に笑った。
「あんまり心配かけたくなかったから言わなかったんだけど……。」
悟の話によると学長との会食の日、向かっている途中で富士山頭の呪霊に襲撃されたらしい。
あれから少し時間経って今更それを知った私が今度は青褪めた。
『だ、大丈夫だった?』
「弱かったから大丈夫。」
『……悟からすれば殆ど弱いのでは?』
「良く分かってるね、未登録の特級呪霊だったけど僕からしたら何の脅威にもならないよ。」
余裕綽々といった感じで笑う悟に私も肩の力を抜いた。
「それで傑の傍にそいつ等がいたって事で良い?」
『うん。あ、でも……夏油君の額になんか縫い目?みたいなのがあったけど。』
「……縫い目、ねぇ……。」
そもそも本物の夏油君は絶賛幽霊となってたから、あの夏油君は偽物となるんだけど私からそれを話すにも夏油君(幽霊)の事も話さなくてはいけなくなる。
『(悟には言わないで欲しいって言ってたもんね。)』
顎に手を置いて考え込む悟を見ながら冷めた紅茶を飲む。
『(それにこの様子なら言わなくても気付きそう。)』
夏油君の姿をした何者かが何を企んでいるかなんて素人の私には分からない。
でもきっと悟関連だというのは何となく分かる。
『……悟。』
「ん?」
『……気を付けてね。』
「心配いらないよ。」
どうか、この人が私の傍から居なくなりませんように。
ただそう願うだけだった。
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有難うございます!
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プスメラウィッチ - みゅうさん夢主ちゃんは術式はありますか?できれば夢主ちゃんも禪院家の相伝術式に持って欲しいです。お願い出来ますか?続き頑張ってください。 (2022年3月15日 9時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - みゅうさん、この小説は渋谷事変編は、曲げ欲しいです。お願い出来ますか?後五条悟と夢主ちゃんは幸せして欲しいです。ハッピーエンドですか? (2021年11月10日 8時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - 通読人Zさん» 一気読みして下さりありがとうございます!更新速度は遅めですが、頑張ります! (2021年9月9日 20時) (レス) id: c63776aca3 (このIDを非表示/違反報告)
通読人Z(プロフ) - 久々にここまでの長編を一気読みしました!朝だったはずなのにもうお昼…これからも素敵な作品楽しみにしてます!! (2021年9月9日 11時) (レス) id: 484ee080f2 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - アリスさん» アリス様ありがとうございます!そう言って頂けるなんて……!嬉しくてニヤついてしまいます(*´∀`*) (2021年9月6日 1時) (レス) id: c63776aca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゅう | 作成日時:2021年8月17日 1時