【伍】人の生を捨てられますか？【我妻善逸】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:9,921 hit

203話ページ5

「炭治郎待て！！待ってくれ頼む！！私の意思を、思いを継いでくれお前が！！」

「お前にしか出来ない、お前は神に選ばれし者なんだというのが分からないのか。お前ならなれる！！完璧な……究極の生物に！！」
『往生際が悪いわ、無惨。』
「黙れ黙れ！」
『耳をすませて炭治郎……聞こえるでしょう？皆の貴方を呼ぶ声が……。』

ー炭治郎戻ってこい。

ー絶対負けるな。

ーこっちだ炭治郎。

みんな……。

ー帰ろう、家に帰ろう。

「炭治郎、炭治郎行くな！！」

「私を置いて行くなアアアア！！」

そうだ、A……君は…どうするんだ？

『……無惨をある所へ連れて行くついでに会いに行こうと思うの。』

誰に？

『……私を家族だと言ってくれた人に。居場所を作ってくれたのに何も恩返し出来なかったから……死なせてしまったから。』

Aのせいじゃない。

『それでも……そうなる前に出来る事たくさんあったのにしなかった自分が憎い。』

善逸はどうするんだ？
Aがいなくなったらアイツは……！

『戻るつもりではあるよ、でも戻れない可能性もある………その時は…禰豆子ちゃんがいるから大丈夫よ。』

善逸に禰豆子はあげないぞ！？

『あはは、そん時くらい許してあげてよお兄ちゃん。』

絶対に戻ってこい！
Aにはいっぱい助けてもらったんだ、そのお礼もしてない。

『私がしたくてした事だから気にしないで……。』

でも……！

『……じゃあ、炭治郎が戻ったら善逸に伝えてくれる？』

あぁ……！
伝えるよ、何でも伝える！

『待っててと。もし待てなかったら守石を捨ててとも。』

……分かった、必ず伝えるよ。

『ありがとう……さあ炭治郎、もう帰った方が良いよ。』

そう笑うAの姿が藤の花に囲まれて見えなくなった。

ーーーーーー
ーーーー
ーー

目を開けると真っ青な空と、禰豆子や皆の姿。

「お兄ちゃん！」
「……ごめん……怪我…大丈夫…か？」
「戻ったあぁぁぁ！！炭治郎だぁぁ！！」
「お前にやられた傷なんか…大したこと…ねぇぜ……。」
「俺は……一生かけて……償ってもらうからな……Aの…妻の分も…。」
「カナヲちゃん、炭治郎目を覚ましたよ！」

横を向くと涙を浮かべながら笑うカナヲがいる。

「(カナヲ……良かった……生きてる……。)」

無惨との戦いに終止符が打たれた。
俺達鬼殺隊はAが治してくれたといえど全員、満身創痍でそのまま蝶屋敷での療養をする事になった。