検索窓
今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:9,930 hit

214話 ページ16

客間に布団を引いて炭治郎達にはそこで寝てもらう。
俺は一応、自分が使っていた部屋を使う。
案内してれば炭治郎が隣の部屋を見て言った。

「この部屋だけ家具とか少ないな。」
「此処はお片付け早く終わりそうだね。」

人が使っていた気配すら感じられない程の殺風景な部屋。
炭治郎の鼻でも匂いは感じられないという事は、何も残っていないんだ。

「……そこはAが使っていた部屋。」
「そうなのか?Aの匂いも何も感じないんだが……」
「どうやってやったか分からないけど、此処から出ていく時に自分の痕跡は跡形も残さなかったからな。」

じいちゃんが買った袴とかは“次元の狭間”にでも頼んで保管してるんだろうなと今の俺なら分かる。

「禰豆子ちゃんの言う通り、片付けんの簡単だろうから明日やろうぜ。今日はもう休まないと……。」
「あ、あぁ……。」
「善逸さん、勝手に片付けちゃって良いの?」
「このまま放置ってわけにもいかないし、Aの私物は何もないから。」

そう伝えれば、禰豆子ちゃんは分かったと頷いてくれた。
どこなく不満げな音を立ててるのは聞かない事にして、俺は炭治郎達が寝る部屋の襖を開けた。

「この部屋使ってくれ、布団いま出すから。」
「俺も手伝うよ。」
「いや炭治郎は良いよ、もちろん禰豆子ちゃんも。伊之助お前は手伝え。」

もはや空気と化していた伊之助だが、片付けの最中はきちんと手伝ってくれていた。
被り物で分からないがブスッとしているのは何となく気付いていた。

「じゃあ、俺はあっちの部屋で寝るから何かあったら呼んでくれよ。」

そう言って自分の部屋に向かう。
その途中、彼女の部屋の前で止まるが振り切るようにその足を動かした。

「(戻ってくるはずなんだ……。)」

守石を捨てたら2度とAは俺の前に現れないだろうと分かってる。
これが今の俺と彼女を繋ぐ唯一のモノなんだ。

「……じいちゃん、そっちに居座ろうとしてたら追い返してくれよ。」

ポツリと呟いて俺は布団に入り、疲れていたのか眠気に抗えず意識を飛ばした。

夢を見た。

獪岳を倒した後に見た時と同じ様な赤い彼岸花が咲きほこる場所。
あの時と全く一緒で対岸にはじいちゃんがいる。
ただ違うのは、じいちゃんの表情が穏やかだって事。

「……じいちゃん?」
「善逸、迎えに行ってやってくれんか?」
「……迎え?」
「そうじゃ、儂の家から少し離れた場所に大きな桜の木がある…そこは儂とあの子が初めて会った場所なんじゃよ。」

215話→←213話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
27人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 我妻善逸 , 転生・多重クロスオーバー   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みゅう | 作成日時:2021年2月16日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。