213話 ページ15
お祖父ちゃんを送ってくれた白澤さんが戻ってきたのを見計らって私は2人に向き直る。
『鬼灯さん、白澤さん……我儘を聞いて下さり有難う御座いました。』
深くお辞儀をして感謝の意を示せば、白澤さんはいつもの様にヘラリと笑い鬼灯さんは若干ばかし表情を緩めた。
「ところで、Aさん……どうやって現世に戻るつもりで?」
「そもそも元いた場所に戻れるの?」
『それは問題ないです、ある人に守石を預けてありますので捨ててなければ戻れます。』
「もし捨ててたら?」
『強制的に違う世界に行きますね。』
また門を潜らなければならないのは面倒だけど、望んで此方に来たから仕方ない。
そう思っていた私を鬼灯さんがチョイチョイと手招きする。
『なんですか?』
「この穴を見てください。」
ぽっかり開いた穴は明らか人為的に作られた落とし穴だと分かる。
白澤さんを落とす為だけに鬼灯さんが作ったのだろうとも。
「……おい、まだその穴あったのかよ……。」
「いつでも落とせる様にと埋めていないので。」
『それで、この穴が何か?』
「……こうします。」
ドンッ
鬼灯さんに背中を押された私は穴を覗き込んでいただけに、そこから落とされてしまった。
「おまっ………何してんの?!」
「手っ取り早いでしょう?」
『きゃあぁぁぁ!!!』
「Aさん、あとは頑張って下さい。」
『鬼灯さんの馬鹿ァァァ!!!』
真っ逆さまに落ちていく。
地面と衝突する前にどうにかしようと思いつく限りの術を放った。
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善逸side
蝶屋敷での療養が終わった俺達は炭治郎の家で一緒に過ごす事にした。
その前にじいちゃんの葬儀を済ませて遺骨を譲り受けた。
「本当は孫であるAが受け取るべきなんだけどな……。」
「善逸が受け取るぶんにはAも納得するんじゃないか?」
「そう、だよなぁ……。」
いつ戻ってくるかは分からないけど、本音はAと俺で葬儀をしたかった。
「(そんな事考えても仕方ないんだけどな。)」
今は炭治郎と禰豆子ちゃん、伊之助にじいちゃん家の片付けを手伝って貰ってる。
蝶屋敷に戻る前にやっておきたかったから。
「だいぶ片付いたか?」
「うん、助かったよ。」
「善逸さん桃の木とかはどうするの?」
「実もなってるし、せっかくだから皆で食べよう。」
甘くて美味しい、じいちゃん自慢の桃を炭治郎たちにも味わって欲しくて提案した。
時間も遅いし今日はこの家で寝泊まりするのは確定だからだ。
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作者名:みゅう | 作成日時:2021年2月16日 6時