54話 ページ6
Aが去った訓練場では重苦しい空気が流れていた。(主に善逸から)
「ぜ、善逸……元気だせ。」
「………………うん。」
だが、やはりというか女の子に触れられるのは嬉しいのか先程の落ち込みはなく笑いながら体をほぐしてもらい、反射訓練でもアオイの手を押さえた上に
「俺は女の子にお茶をぶっ掛けたりしないぜ。」
などとカッコつけてみせた。
しかし裏で話した事は声がデカすぎて筒抜けだったようで女の子達からの目は厳しく、全身訓練での鬼ごっこでも勝ち星をあげたが
「わっしょい!」
アオイの手によりボロボロとなった。
「勝負で勝ち戦いに負けた!」
あながち間違ってはいないのだが、邪な考えを持って接してるのは間違いだ。
伊之助も訓練をこなしていく。
炭治郎だけが進めない中、善逸と伊之助が順調だったのはここまでだった。
誰もカナヲに勝てない。
誰も彼女の湯呑を押さえる事は出来ないし捕まえる事が出来ないのだ。
「紋逸が来ても結局俺達はずぶ濡れで1日を終えたな。」
「改名しようかな、もう紋逸にさ……」
「同じ時に隊員になった筈なのにこの差はどういう事なんだろう…。」
「俺に聞いて何か答えが出ると思っているならお前は愚かだぜ。」
善逸の言う通りだ。
困った顔をしながら炭治郎は視線を外に向けて、思わずあっと声を出した。
「あれ、Aじゃないか?」
「え?」
善逸と伊之助も窓から覗くと、そこには目を閉じたAが愛剣を持って舞うように動いていた。
「はー………何だあの動き……。」
「1度だけAと一緒に戦ったけど、すごく速かった。」
「………俺、初めて見た。」
3人は目を奪われていた。
伊之助は掌底を食らった事を思い出したのか苦い顔だ。
「……Aは俺の“育手”であるじいちゃんの孫なんだけどさ、じいちゃんのとこにいた時はこんな風に動いてるの1度もなかったんだよ。」
「そうなのか?」
「うん、いつも家事とかばっかりでたまに町まで買い物に出るくらい。」
「だけど、あの動きは手慣れてんぞ?」
「………俺はAの事詳しく知らない、嫌われただろうからもう教えてもくれないよ。」
また落ち込みだした善逸に炭治郎と伊之助は慌てて慰める。
大丈夫だと言われつつ善逸の視線はAを捉えていた。
「……善逸は本当にAが大切なんだな。」
「うん………。」
「アイツに鍛えてもらえば勝てるんじゃねぇか?」
伊之助の言葉に2人は目を丸くした。
それは名案だと思ったのだ。
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みゅう(プロフ) - ゆうさん» ゆう様、ありがとうございます!こんな拙い文章なのに、そう言って頂けて嬉しいです!! (2020年10月10日 17時) (レス) id: c63776aca3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 何でしょうか、あなたは人間ですか??(失礼)文才ありすぎですね僕にも才能分けろください() (2020年10月10日 11時) (レス) id: 7af342ea3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゅう | 作成日時:2020年9月1日 10時