92話 ページ44
善逸side
他の子に被害が行く前に何とかしないと……!
俺は蕨姫花魁の方を向いて何も知らない風を装って謝った。
「勝手に入ってすみません!部屋が滅茶苦茶だったし、あの子が泣いていたので……」
「不細工だねお前、気色悪い……死んだ方が良いんじゃない?何だいその頭の色!目立ちたいのかい?」
「(え……俺、この鬼と初対面だよね?何でこんなボロクソに言われてんの?)」
茫然としてる俺から目を離して、泣いている女の子の方を向く。
「部屋は確かに滅茶苦茶のままだね。片付けとくよう言ったんだけど。」
そう呟いて、女の子の耳を引っ張った。
女の子から悲痛な悲鳴が聞こえる。
「ギャア!」
「五月蝿い!ギャアじゃないよ!部屋を片付けな!」
「ごめんなさいごめんなさい!すぐやります、許してください……!!」
鬼の力で引っ張られてる耳は血が垂れてきていた。
このままだと耳が引き千切られると思った俺は鬼の腕を掴む。
「……何?」
「…手、離してください。」
本当に一瞬だった。
頬を殴られて向かいの部屋まで吹っ飛ばされた俺は意識が飛んだ。
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Aside
私の目の前で善逸が吹っ飛ばされた。
『(な、に?)』
「気安く触るんじゃないよ。のぼせ腐りやがってこのガキが。躾がいるようだねお前は、キツイ躾が。」
『(この気配………上弦!何でこんな事になってんの?!と、とりあえず…善逸守らないと…!)ぜ、善子…!!』
「……お前…本当に人間かい?」
『っ!?』
バレた?
鬼側に私の正体がバレた……!?
『わ、わた…し……』
「蕨姫花魁……!!」
私の声を遮ったのは此処の旦那さんだ。
来るなり土下座してこの場を鎮めようとした。
「この通りだ頼む!!勘弁してやってくれ、もうすぐ店の時間だ客が来る……!俺がキツく叱っておくからどうか今は……どうか俺の顔を立ててくれ…!」
「旦那さん顔を上げておくれ。私の方こそご免なさいね、最近ちょいと癪に触る事が多くって入ってきたばかりの子につらく当たりすぎたね。手当てしてやって頂戴。」
そう笑う彼女はどこから見ても鬼には見えなかった。
周りがバタバタする中、私は気を失ってる善逸を震える体でただ抱きしめているしか出来ない。
「ほら、その子を他に連れて行くよ。」
『………はい………。』
私達が寝泊まりしてる部屋に寝かされた善逸。
怪我は酷くないが意識が戻らない。
私は体の震えが未だ収まらず初めて鬼が怖いと感じた。
翌日、善逸は消えた
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みゅう(プロフ) - ゆうさん» ゆう様、ありがとうございます!こんな拙い文章なのに、そう言って頂けて嬉しいです!! (2020年10月10日 17時) (レス) id: c63776aca3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 何でしょうか、あなたは人間ですか??(失礼)文才ありすぎですね僕にも才能分けろください() (2020年10月10日 11時) (レス) id: 7af342ea3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゅう | 作成日時:2020年9月1日 10時