73話 ページ25
「オオオオオ!!」
煉獄さんの声。
刀が猗窩座の頸に食い込んでいく。
猗窩座はもう片方の腕で殴り掛かってくるのを煉獄さんが片手で押さえた。
「……もう少し頑張れるか?桑島少女」
『勿論ですとも……』
夜明けが近いのか、猗窩座の表情が変わる。
私達を傷付けた腕を引こうとするも、凍ってる上に剣と繋がっていて尚かつ私が脇に挟んで抜けない様に力を込めているから引けない。
煉獄さんも掴んでいる手を離さない。
「(腕が抜けん!!)」
「『(逃がさない…!)』」
「オオオオオ!」
凄まじい咆哮に耳を塞ぎたいが、我慢して離してたまるかと更に力を込める。
「オオオオオ!」
「あああああ!」
煉獄さんが頸を落とすまで離すわけにはいかない。
「退けェェェェ!!」
「ああああ!!」
『(頸の半分まで刀が食い込んだ!)』
私は左手で剣を掴んで自身の手諸共、猗窩座の腕を凍らせている。
右腕も使っている為これ以上なにも出来ない。
「伊之助動けーっ!煉獄さんとAの為に動けーっ!!」
「!」
『(炭治郎……伊之助君……!)』
気配で伊之助君が技を放とうとするのが分かった。
その時ー
ドン!!
そんな音と共に猗窩座は高く飛び上がっていた。
『(自分の両腕を引き千切って!?)』
猗窩座が焦っている理由はやはり陽が昇ってきたからだ。
森に逃げ込む猗窩座を追うことが出来ない。
『(脇腹の傷と左手が軽い凍傷………煉獄さんの怪我も治さないと……。)』
このまま逃がしてしまうと唇を噛んだ。
だけど、炭治郎が刀を奴に向けて思いっきり投げる。
それは見事、奴の胸を貫いた。
「逃げるな卑怯者!!逃げるなァ!!」
炭治郎の声が響く。
「いつだって鬼殺隊はお前らの有利な夜の闇の中で戦ってるんだ!!生身の人間がだ!!傷だって簡単には塞がらない!!失った手足が戻ることもない!!逃げるな馬鹿野郎!!馬鹿野郎!!卑怯者!!」
必死に声を張り上げる炭治郎の声を聞きながら私は痛みを堪える。
「お前なんかより煉獄さんの方がずっと凄いんだ!!強いんだ!!煉獄さんは負けてない!!誰も死なせなかった!!戦い抜いた!!守り抜いた!!お前の負けだ!!煉獄さんの勝ちだ!!」
そうだ、煉獄さんは負けちゃいない。
頸は切れなかったけど、負けてない……!!
「Aにだって負けたんだ!!」
『……え……?』
「お前なんかが煉獄さんとAに勝てるわけないんだ!!」
私の事も炭治郎は言ってくれるんだね。
相変わらず優しいなぁ……。
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みゅう(プロフ) - ゆうさん» ゆう様、ありがとうございます!こんな拙い文章なのに、そう言って頂けて嬉しいです!! (2020年10月10日 17時) (レス) id: c63776aca3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 何でしょうか、あなたは人間ですか??(失礼)文才ありすぎですね僕にも才能分けろください() (2020年10月10日 11時) (レス) id: 7af342ea3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゅう | 作成日時:2020年9月1日 10時