64話 ページ16
Aside
「A！」
『えっ？』
低く落ち着きのある声に呼ばれて振り返る。
そこには“私の家族”がいた。
『と……父さん………？』
「さっきから親父が呼んでるのに立ったまま寝てんのか？」
「それか具合悪いとか？」
「いや、Aに限ってないだろ。」
『……兄さん……姉さん………』
どういう事だ？
何故、家族がいる。
『な、んで………』
「何でって……これからお袋の墓参りだろ？」
『違っ……！』
「ほら、行くよ。」
ただ１人の姉は私の背を押す。
目の前には父と兄達。
その後ろには我が家の墓ー母の骨が眠っている場所。
『……何なの、これは………！！』
「さっきから何言ってんの？」
『私は……私は！この世界を塞いだはず！！』
「意味が分からない事言うなよな。」
『こんな巫山戯た真似したのは誰！？』
姉を振り切って辺りを見渡せば、離れた所に着物を着た子供の姿があった。
『(あの子が！？)待ちなさい！！』
「A！？」
走って走って、追い付いた先に小さな球体と子供はいた。
『お、いついた………！貴方の仕業なの！？それはなに！？』
「ぼ、僕も幸せな夢を見るんだ………！お姉さんだって家族に会えて幸せなんでしょ？」
『幸せですって？私にとってはただの絶望よ。』
「何でだよ！？ここはお姉さんの夢だろ？お姉さんが家族に会いたいって思ってるからだろ！？」
『……確かに会いたいと何度も思ったわ。』
「なら……！」
『だけど！私は私の覚悟で会わないのよ。大切な家族を喪いたくないから、幸せに生きてて欲しいから２度と会えなくてもその道を選んだの。』
こんな子供に言っても仕方ないのかも知れない。
それでも感情を抑える事は出来なかった。
『この夢は私が望んだ事では無い。君から見たら幸せな夢に見えるかもしれないけど……これっぽっちも幸せなんかじゃないの。』
「だけど……こうしないと幸せな夢を見せてもらえないんだ！」
『必ずしもそれが幸せだとは限らない！誰かに見せてもらう幸せなんてただの虚像よ！自分で掴み取りなさい！！』
「！」
分かってた。
これから逃れる手段はだいぶ前から気づいてたんだ。
私は愛剣を自分の頸に当てた。
『……起きたらまたお話しましょう。』
息を呑む少年の前で躊躇いなく頸に刃を滑らせた。
ーーーーーー
『っは………お、起きれた……。』
私以外誰も起きてはいない。
箱から禰豆子ちゃんが出てきていて、必死に炭治郎を起こしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゅう(プロフ) - ゆうさん» ゆう様、ありがとうございます！こんな拙い文章なのに、そう言って頂けて嬉しいです！！ (2020年10月10日 17時) (
レス) id: c63776aca3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 何でしょうか、あなたは人間ですか??(失礼)文才ありすぎですね僕にも才能分けろください() (2020年10月10日 11時) (レス) id: 7af342ea3d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みゅう | 作成日時：2020年9月1日 10時
