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ページ25

クタリと倒れ込むAを抱き止める。
閉じられた瞼からは涙が流れたまま。

「A!硝子!!」
「そんなに叫ばなくても聞こえてる。」

拘束された体を解放し、硝子に容態を見て

「……何処も外傷は無し……ただ、気を失ってるだけ。」
「……悟、この呪霊はどうする?」
「祓う。俺がこの手で祓う。」

硝子にAを預けて呪霊の元へ歩く。
呪霊はAの方を向いたまま、ずっと同じ事を口にしていた。

“一緒ニナロォォォォ!僕ノニナロォォォォ!”

「黙れよ。」

“ボ、僕ノモノニナッテェェェ!”

「黙れクソが。アイツはお前みたいなヤツのモノになんかしねぇよ……」

「Aはこの先もずっと俺のだ。」

今度は呪力をしっかり込めて呪霊を殴る。
いとも簡単に祓う事が出来たソレを見届ける事もせず俺はAの所へ戻る。

その際、Aを誘拐した男の亡骸が目に入った。

「……コイツのせいで……!」
「やめるんだ悟。もうすでに原型すら留めていない。」
「……クソッ!」
「五条…アンタがこの子を抱えてやんなよ。」

自分のジャケットを脱いで上からAの体を隠す様に掛ける。
そのまま背中と膝裏に腕を入れて抱えてた。

「……恐らく、あの男性が殺されるのを見てしまったんだろうね。」
「目立った外傷はないけど、心的外傷は起きてからじゃないと分からない。」
「……このまま高専に連れてく。」
「その方が良いと思うよ。」

硝子がそう言い、傑も同じく頷いた。
補助監督の車に戻れば真っ青な顔で俺が抱えているAを見る。

助手席には傑、後部座席に俺と硝子が座り俺の膝の上にはA。

「あ、そうそう…これアンタのじゃない?」
「……どこにあった?」

鎖が引き千切られたネックレスが硝子の手元にあった。

「あの男の近くにあった。この石から五条の呪力感じてね。」
「……2年前に渡したんだよソレ。俺の呪力込めたから低級くらいなら守ってやれると思って作った。」
「引き千切られた鎖を見る限り、あの男がこれを奪ったんだろう。」

傑の言う通りだと思う。
どんなに周りを呪霊が囲んでも俺の呪力がAに触れさせないようにしていた。

今回、ソレを野郎がAの首から奪ったせいで起こった事だろうと。

高専に着いて真っ先にAを保健室で寝かせる。
報告は傑と硝子に任せて俺はAの傍に座った。

「……守れなくてごめん。」

涙の跡を指でなぞり閉じられた瞼にキスをした。
その日にAが目覚める事はなかった。

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みゅう(プロフ) - 御笠梨夜さん» お返事遅くなりました(汗)ありがとうございます!!叫ばれるほどだったとは…! (2021年4月13日 12時) (レス) id: c63776aca3 (このIDを非表示/違反報告)
御笠梨夜(プロフ) - 主さんと五条悟さんに落ちた理由がピッタリ過ぎて叫びました!!! (2021年4月7日 21時) (レス) id: 2a8a3245ef (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - つぶやき星のつぶやき女さん» 続き気になると言って下さり嬉しいです! (2021年4月4日 0時) (レス) id: c63776aca3 (このIDを非表示/違反報告)
つぶやき星のつぶやき女 - 面白かったです。続き気になります。更新がんばって下さい! (2021年4月4日 0時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - イオさん» 有難うございます!面白いと言っていただき嬉しいです!出来るだけ更新早くなるよう頑張ります!! (2021年4月3日 21時) (レス) id: c63776aca3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みゅう | 作成日時:2021年3月18日 9時

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