神社のキツネさん【桃】

再会 ページ15

あれから阿部は偶に此処に訪れるようになった。

月に一度は顔を見せるようになり手土産まで付いてくるようになった。



阿部「Aさ〜ん」

「っと、おぉ阿部か！佐久間は居ないのだ…な、」

向井「…この子がAちゃんなん？思ったよりちっちゃい子やな〜！しかもコスプレもしとるん？可愛ええなぁ」

阿部「でしょー？あ、そうそう。佐久間はちょっと遅れてくるんだよね、はいこれ手土産」

「あ、あぁ。ありがとう…蜜柑！」



少し動揺したが、大丈夫。

相手は覚えてすらない筈

丁度阿部が蜜柑の手土産を持って来てくれたので蜜柑で気を紛らわす



「…ん！んん！ふふんふ！」
(…お！阿部！甘いぞ！)

阿部「あっははw佐久間に聞いたら蜜柑が好きって言ってたから買っておいたんだ〜」

向井「そんなや？さっくんはよく知っとるな〜！」

「あ、すまない。2人共上がってくれ、茶を沸かしてくるな」



私はそう言い残し、急いで台所まで歩く

間違いない。

動画じゃ気づかなかったが、匂いが同じだった。

彼奴だ



「ちょっと待ってや！」



私が歩き出して少しして後ろから手を握られた。

恐らく…いや、絶対彼奴だ



「っ…なんだ、阿部が案内した筈だろ。」

向井「そうやなくて！」

向井「前に、会ったことあるやん…あの時の狐さんやろ？ここの神社におった、狐さんやろ？」

「なんだ、今更…」

向井「俺、あの時の事を謝りたくて。約束、守れへんくてごめん。でもほら！また来たで！」



本当に、今更過ぎる

何年前だと思ってるんだ

あの時に、人間には良い奴も居ると教えてくれたのに


もうどうでもいい



「…自分の意思で来た訳じゃないだろ。どうせ、また来なくなる。もう、どうでもいい」

向井「ちg「A〜！」」

佐久間「おーい！佐久間さんもお茶運ぶの手伝うよ〜…って、康二？何してるの？」



丁度良い時に佐久間が後ろから今日も煩く話しかけて来た。



「阿部に誘われて来たらしいぞ、まだ沸けてないから此奴を客間に案内してくれ」

佐久間「分かった！」

向井「なぁ、まだ言いたい事言えてへん」

「私は既に言った。もうどうでもいい、怒ってもない、何も思っていない」

佐久間「…康二、行こ」

向井「っ…でも！」

佐久間「なんで2人がこうなってるのか分かんないけど今は止めとこ」

向井「…うん」

仲直り→←昔話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す