【ONEPIECE】Chainー外れたパーツー (ページ35)

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第33話ページ35

Aside)

涙なんていつぶりだろうか……

きっとあの時から私は1度も泣いていないから

だからこんなにも抑えることが出来ないのだろう。

右手は心地いい温度に包まれいて、

左手で何度も目元を拭う。

｢いい加減にしろ｣とぶっきらぼうに言いながらも

歩く速さはいつもよりだいぶ遅くて、

そんな優しさにまた溢れてきそうになる。

呆れたようなため息、

濃くなった葉巻の匂いと、浮遊感。

彼は私を抱えあげていた。

マリンフォードに戻って、たどり着いたのは彼の部屋。

柔らかいベッドに下ろされて、視界は彼で覆われる。

愛用の葉巻はサイドテーブルの灰皿の上に置かれ、

微かにその香りを漂わせている。

深く交わされる苦いキスと、

優しく身体に触れる大きな手の感触、

何度も確認するように彼は私から目をそらさない。

｢……好きだ。｣

ぶっきらぼうな所も、

自他ともにストイックな所も、

いざとなれば自分より他人を優先する所も、

時々気が抜けた時にとても優しく微笑む所も、

手に入れたい物があると少し強引になる所も、

それでいてずっと私に合わせて優しく触れてくれる所も､

あなたの全てが、

『好きだよ、スモーカー』

あぁ、

こんな私を«人»として愛してくれる彼だから、

私は今、

こんなにも張り裂けそうな程胸が苦しいのだろう。