【ONEPIECE】Chainー外れたパーツー (ページ28)

今日:4 hit、昨日:9 hit、合計:13,644 hit

第26話ページ28

Aside)

後1時間もせずに船はアラバスタに着く。

私とスモーカーは朝日のさす甲板へ出ていた。

『今度はどれぐらいで本部に戻ってこれるの？』

煙｢さぁな…ま、この間よりは早いんじゃねェか？｣

朝日によってキラキラと輝く港が見えてきた。

『えぇ……楽しみにしてるわ』

煙｢また飲みに行くのが？｣

『貴方が、帰ってくるのを』

好奇心からのちょっとした意地悪。

貴方がどんな表情をしてくれるのか、

どんな言葉を返してくれるのかが気になった。

だから、

ふと途切れた朝日の光と、

不意に寄せられた彼の身体の温度と、

珈琲とは別の苦さを感じた口内。

真っ直ぐに向けられたアンバーの瞳が

私だけを映して離れて行く状況に困惑した。

彼は右手に持った葉巻を咥えなおしても

私から目をそらさずに、一度紫煙を吐いた。

煙｢…今度は早く帰る。
返事はその時までに考えてくれりゃあいい

……じゃあな｣

港に船を着ける前に、彼は風に乗って行ってしまった。

甲板にひとり取り残された私は

温度の残った唇と煩く騒ぐ心臓を押さえて

ただ静かに涙を零す事しか出来なかった。

『なんて、バカなことを……』

それは決して、
手を伸ばしてはいけなかったものだったのに