第11叫 ページ12
目が覚めると、どうやら医務室のベッドに寝ているらしいということが分かった。ぐるりと部屋を見渡してみると、ダリ先生が椅子に座っていた。
『あ、ダリ先生…』
「Aさん、目が覚めたんだね。一応ブルシェンコ先生に診て貰ったんだけど、外傷は無かったみたいで安心したよ。それで、さっき気を失ったことに対して心当たりはある?」
ダリ先生にそう問われ、私は気絶した時のことを思い出してみた。
今思い出しても恥ずかしいが、ダリ先生に抱きしめられて頭を撫でられて……急に満腹感を感じて気持ち悪くなったんだ。例えるなら
そうか、家系能力か。きっとダリ先生からの好意的な気持ちを食べたんだろう。愛食は常時発動系の家系能力だし、初めて食べたことで体がびっくりしたのだろう。
『多分家系能力のせいだと思います。愛食は相手からの好意を食事として食べる能力なので。』
「なるほどねぇ〜、あの時呻いてたのは満腹だったからか。本家の能力は知ってるけど、分家も同じ感じなんだね。」
『はい、分家の劣化版みたいな感じで本質は同じです。』
分家の能力は愛している相手からの好意しか食べられない、なんて口が裂けても言えない。一応、嘘は言っていないし大丈夫だろう。
『もしかして、ダリ先生はずっとここにいてくれたんですか?』
「ん?そうだよ〜、原因は僕みたいなもんだしね。Aさんが傷ついてなくて本当に良かったよ。」
本当に心配したんだからね、と言ってダリ先生はまた頭を撫でてきた。
私が恥ずかしくて顔を赤くすると、ダリ先生はそれを面白がってか、ニヤニヤしながら私の手を撫で始めた。
『だ、ダリ先生…やめてください恥ずかしいです!あ、ちょっと………本当にやめてください、お腹が苦しいです。』
最初は恥ずかしさが勝っていたのに、やはり先生の好意を無意識に食べていたようで、また苦しくなってきた。
私が苦悶の表情で訴えると、さすがにやり過ぎたと私を解放してくれた。
「ごめんごめん、Aさんの反応が面白くて。……おっと、もうこんな時間か。じゃあAさん、気をつけて帰ってね。」
『今日はありがとうございました。さようなら、ダリ先生。』
今日は本当に凄い日だった。先輩に襲われたのは怖かったけれど、ダリ先生のスキンシップに打ち消されてしまった。
ゼゼくんに話したいなと思いながらも、さすがに今日は遅いので、そのまま家に帰ることにした。
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コロネ(プロフ) - 初コメ失礼します!!とてもおもしろかったです!!続き楽しみにしてます! (10月27日 18時) (レス) @page24 id: 2d335fb530 (このIDを非表示/違反報告)
めそ(プロフ) - 東雲 夜椰-シノノメ ヨルヤ-さん» コメントありがとうございます。紹介大丈夫です、むしろ凄く嬉しいです!面白いと言っていただけて本当に良かったです。これからも頑張ります! (9月9日 21時) (レス) id: 92e13f110a (このIDを非表示/違反報告)
東雲 夜椰-シノノメ ヨルヤ-(プロフ) - 初コメ失礼します。無茶苦茶面白いんですけど何でですか?友達に教えてもいいっすか?マジで。ダメだったらいいんすけど!更新頑張って下さい!!応援してます! (9月9日 21時) (レス) @page12 id: 70c3e8bce0 (このIDを非表示/違反報告)
めそ(プロフ) - ありささん» コメントありがとうございます。神作と言っていただける日が来るとは思わなくて、凄く嬉しいです!ゼゼくんとの絡みも増えてるくので、これからもよろしくお願いします! (9月9日 18時) (レス) id: 92e13f110a (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - ダリ先生の夢小説少ないけど漁りまくってこの小説に出会ったんですけどほんとに神作に出会えました!!更新される度に頬が緩みます!ゼゼくんもダリ先生も推しなのですごく嬉しいです(><) (9月9日 15時) (レス) @page12 id: 2c7a263bbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めそ | 作成日時:2023年9月6日 18時