ー 誰そ彼 ー

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S「いってきます」


９月、重いカバンを肩から下げて家を出る


パリっとした制服を着るのは約１か月半ぶり


この夏休みはなんだかいろいろあったような気がするけど


ほとんど覚えていなくて


S「…みんないつも通り」


スマホを確認すると


いつもの３人から「家出た？」「いつもの場所で」「はーい」と入っていた


俺も同じように「いつものとこでね」とメッセージを残した


いつもの時間、いつもの電車


いつもの車両に乗り込んで、珍しく空いていた席に座る


外を見ればまだ夏の空


これから受験に向けて最終で頑張らないと


なのに、この大事な夏休みにこれも珍しく男４人で関西の田舎に旅行に行ったんだ


何もない田舎、なんで誰があそこに決めたのかすら覚えてない


結果「相葉さんが電車間違えた」って言うカズの言葉で納得はしたけど


それでもなんであの日、あの場所へ行ったのか…


ただ、あの田舎が自分にとってとても大事な場所なんだと


根拠もなく思う


S「…」


いくら考えてもわからなくて…


わからないと言えば、あの旅行からあの夢を見なくなった


でも目が覚めると涙を流している


ずっと、誰かを探している気がする


S「え…」


ふと前を見ると、俺を見ている多分同学年くらいの男の人と目が合った


その人もびっくりした顔をしていたけど


俺もびっくりした


他校の制服、もちろん会ったのは初めて


なのに、俺はあの人を知っている気がしたから


、

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