【d!】シンデレラ♂を迎えに来ないでください (ページ5)

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『どこだここ…』

迷った。うーん、おかしいな。俺は外に出れるはずだったんだけど。
あの人に道聞けば良かったかな。いや絶対アイツヤバい奴だったからあの選択は正解だった。

『あーもうやだどうしよう…』

本当だったら俺はタキシードを着て女の子にチヤホヤされるはずだったのに。
そう考えるとどうしようもなく虚しさに襲われたAは思わず顔を覆って廊下の真ん中にうずくまる。

sha「お姉さんどうしたん、こんな所でしゃがんじゃって」

『うわっ！！』

男がどこからか現れて声をかけてきたことにAは驚き、大きな声をだしてしまった。

sha「あ、すまんな驚かせて。お姉さん大丈夫？怪我でもしたん？」

にこにこと人の良さそうな笑みを浮かべてそう言ってくる謎の男。俺今日男と縁ありすぎでは？
しかも出会う男すべてイケメン。キィィィ！！！！羨ましい！！！！

仕草と初対面の女(俺)に対する態度から見てこいつも絶対モテるイケメンだ。つまり俺の敵。

イケメンに対する怒りと妬みと廊下のど真ん中でしゃがみこんでいる所を見つかったことによる焦りが混じって固まってしまったAを、不思議そうな顔をして男が見つめる。

sha「お姉さん？」

『あ、すみません、あの、私外に出たくって。決して怪しい者ではないんです』

声をかけられた事によりハッとしてあたふたと弁解を始めるAに男ははははと快活な笑い声をあげてからとりあえず立ちなよ、と手を差し伸べた。

sha「なんやそういうことやったんか。外こっちやでお姉さん。おいで～」

『ありがとうございます…』

いきなりの神対応を食らってぼんやりとしながら男の手を握ると、グイっと引き寄せられて立ち上がらせられた。イケメンだ。しかも性格の良い人間が出来てるイケメンだ。

sha「しかしお姉さん不用心やな」

『え？』

イケメンがAの顔を見てポツリと言った。

sha「ふつーは初対面の男にホイホイついていかへんで？怪しいやろ」

『あー、あはは…』

このイケメンは今自分が手を握っているのが迷子のお姉さんではなく青春真っ盛りの男(17)だなんて思いもしていないのだろう。
これでも下町の喧嘩チャンピオンじゃい。男の一人や二人投げ飛ばせるわ。

『お兄さんは優しそうだったから…』

sha「え～ほんと？嬉し～」

心の底から嬉しそうににこ、と笑うイケメン。笑うといたずらっ子っぽいなーなんて思いつつ、
曖昧に笑ってごまかす。

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