67話 ページ17
俺は冷たい暗闇の中にいた
もうどのくらい時間が経ったのだろう
考えることをやめて何十年経ったろう
最後に光を見たのは何百年前だろう
自分が何者だったかさえもはや
忘れてしまいそうだった
霧仁(すみませーん そこに誰かいますかー？)
誰だ
霧仁(初めまして僕 毛利霧仁って言います 実はこの山の中腹あたりで雪崩に巻き込まれてしまって雪の中に閉じ込められちゃったんです 数日頑張ったんだけどもう体がダメみたいでついさっき息をひきとってきたんです)
人間の精神体か
人に会うのは何百年ぶりだろ
霧仁(いやなにせ死ぬのは初めてで すっごい取り乱して体力を使っちゃって)
相変わらず静寂な生き物だった
霧仁(それでですね 僕はもういかなければなりません だけど１つだけ心残りがあるんです 家を出るとき母と言い合いをしてしまったんです すごくくだらない口喧嘩です)
霧仁( あれが最後だと知ってたらもっと優しい言葉が言えてたのに...きっと母さんもそう考えそしてすごく自分を責めてしまうかもしれない だからあの喧嘩を最後にしたくないんです もし あなたにお願いできるのなら僕が謝ってたと母に伝えてくれませんか？)
なんだこいつ
意味がわからない....
死んじまってるのにか..それ伝えて何か得があるのかと
だがそうだった
人間ってやつはこんな馬鹿な生き物だったと思い出した
悪羅王(むりだな 俺はここから動けない 悪い奴らに体を持ってかれちまった おかげで魂だけがこんな山の中で岩にへばりついてる次第だよ)
言葉を発したのも何百年ぶりか
霧仁(なら...僕の体をあげます 雪の中に埋まってて動けないけどあなたなら使えるかもしれない それで僕のお願いを聞いてくれませんか？)
悪羅王(いいよ)
そう言ったのはただの気まぐれ
こいつの都合なんてしらねぇ
虫けらの体と共倒れになるかもしれないけど 使えそうなら使ってみる もしかしたら暗闇から出られるかもしれない
....ダメでも
そこで終わっても
もういい
もう暗闇の中は
そう思った...
霧仁(母)「あの日私...イライラしてて息子についキツイことを言ってしまったの」
誰だ..?
霧仁(母)「こんなことになるんなら...」
霧仁(父)「大丈夫医者もじきに眼が覚めるって..」
...何を話している
手....
俺の手...?
霧仁(母)「霧仁！！！)」
動ける...
光を見たのは何百年振りか____
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 176人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：浅野すわぁん x他3人 | 作者ホームページ：http://20010614
作成日時：2017年12月8日 8時
