30.ルール違反 ページ30
平野「__うわぁっ…!とてもよくお似合いです!」
今剣「すてきですあるじさま!!」
A「__ありがとう…。うぅ…恥ずかしい…」
私が今試着しているのはとても美しい白無垢。
結婚式にどうか、と実家から送られてきたのだ。
お父さんもお母さんも気が早すぎる…。
お見合いだってまだなのに…!
平野「そうだ!鶯丸様にも見せましょうよ!」
A「えっ……!い、いいよいいよっ!」
平野ちゃんの発言に、私は慌てて横に首を振った。
鶯とはあれから話していないから…
何だか気まずい
平野「何故ですか?そんなにお綺麗なんですからもったいないです。全員に見せましょうよ!」
全員…!?
平野「では、お手をどうぞ。主。」
平野ちゃんは私の手をとると、廊下へと引っ張った。
A「ちょ…!ちょっと!」
*
*
*
鶯丸「………はぁ…。」
主が審神者を辞める
あの話を聞いてから何度ため息をついたか…。
___主のことが好き
なんて…
こんなのルール違反だ。
この気持ちを伝えたら、主は何て言うだろうか。
優しいあの子を困らせたくはない……
でも__
鶯丸「……やれやれ。参ったな。」
あの子の笑顔が好き。
淹れてくれる茶が好きだし料理も好き。
慣れない審神者の仕事を一生懸命している姿、遠征から帰ると必ず出迎えてくれるところ、心配性なところ。
辛い時は甘えさせてくれるところ。
なによりも__優しいところ。
__ほら、こんなに大好きだ。
もう自分の気持ちを自分の手に負える状態ではなかった。
部屋の引き出しの奥から、七夕に書いた短冊を取り出した。
「主とずっと一緒にいられますように。」
……こんなの、神様にも見せられない。
俺たちの目的は時間遡行軍を倒し、あるべき歴史を守ること。
刀剣男士として、それが成功することを第一に願わなければならないのに……
ずっと一緒にいたいだなんて、戦いが終わらないでほしいと言っているようなもんじゃないか…
そんなこと思うのはだめだって知っている。
知っているのに。
鶯丸「………居なく…ならないで……。置いていかないで__」
どうしても行ってしまうの……?
ずっと誰かに大切にされてきたから、置いていかれる辛さも寂しさも知らない。怖い__
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