だから。【HUNTER×HUNTER】【キルア】 (ページ2)

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「ごめんなさいね～、キルったらどこに行ったのかしら」

「いえ、お気になさらず」

城というにはボロく、廃墟というにはあまりに大きすぎたこれはゾルディックの家。

「キルアと仲良くしてあげてね！Aちゃん」

名前を呼ばれたのはいつぶりだろうか。最後がいつなのか検討もつかないほど前のことだということはわかる。

「……はい」

紙に書いたような笑顔を貼り付ける。
大丈夫、表情筋はちゃんと鍛えてるの。

だから笑える。

「部屋はここを好きに使ってちょうだい。今日はゆっくりしてね」

パタンと閉じられ、部屋の中を見渡す。

部屋の第一印象、冷たい。

ほとんどがコンクリートでできていて仮にも女子の部屋と呼ぶのは少し気が引けるだろう。

「……くだらない」

ベッドに腰掛けるとそこは冷たくて、一瞬ふるりと体が震えた。

さぁ、ここからどうするか。答えはもう出てる。

もちろん殺す。

結婚なんてごめんだ。母は私にかわりに殺せと言った。

きっと母は怖いんだ。私達ノルール家がゾルディック家に潰されるんじゃないかって。

ノルールだって暗殺一家としていくつもの功績をあげてきたがどれもゾルディックほどではない。
それに今では依頼の数も減っている。おまけに唯一の娘の私には才能なし。

だから私をゾルディックに転がさせて子どもを作らせる。

クソすぎる。