私にリンドウを、あたしへゼラニウムを。【HUNTER×HUNTER】

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目を覚ますと身体に痛みが走った。
地面がコンクリートなのを確認するとそれのせいか、とため息が出る。


｢おい｣

｢え｣


声をかけられ目線をあげるとそこにはいつかのオークションでやり合った男が立っていた。

そうだ、自分はあのとき逃げ遅れて気絶させられたのだ。あ、やばい。逃げなきゃ。

そう思いとっさに動き出そうとするが


｢どこ行くね｣

｢まってよ私まだ死にたくないんだけど｣

｢は？｣


男に腕を掴まれ逃走をあっけなく断念させられる。


｢フェイタン離してやれ。多分そいつはさっきの出来事なにひとつ覚えてない｣

｢どういうこと？｣

｢女、名前は｣


オールバックの男にピンクの髪の女、胸が大きい女とオークションの男。4人が私を見る。


｢A｣

｢オレはクロロ。A、お前二重人格か？｣

｢へ｣

｢お前はさっき蜘蛛に入ったんだ。覚えてるか？｣

｢え、いや覚えてない。けど、なんとなくわかった｣


自分が知らない間にずいぶんと状況が変わったらしい。幻影旅団、ゴンたちと先ほどまで狙っていた相手ではないか。

まあそうなった原因はわかる。


『まあそういうことよ』

｢だよね、お前だと思った。お前に身体を貸すとろくなことが無い｣

『いや助けたんだよ感謝しろ』

｢誰と話してる｣


クロロがこちらを見つめる。なんだか面白いものを見てるような目をしているのが気になるがとりあえずは説明をするべきか。


｢二重人格って言うのかは知らないけど、確かに私の中にはもうひとりの意識がある。たまに身体を貸したりするけど、その間は私に記憶は残らない｣

｢今話してたのは｣

｢もうひとりの意識と話してた。もうひとりの奴はいま視界とかは見えてるんだと思う。今何してるとかわかってるから｣

｢そうか｣

『蜘蛛に入ったのはお前を殺させないためだから水の泡にすんなよ』


わかってる、ろくなことが無いのは確かだが無意味なことはあまりない。


｢今日はもういい休め。明日また話があるそれまで自由にしろ｣

｢…了解｣

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