メリーゴーランド３ (ページ44)

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「Aはバイトなんでしょ。
私、行くね。
重岡くんが来いってうるさいから」

みなみ、可愛いなあ。

声がはしゃいでる。

「じゃあ、明後日は、
朝一、うちね。
お母さんに着付けしてもらうから」

みなみと約束して角で別れた。

明後日、久しぶりに実家のある町に行く。

みなみの家は、
私の育った家と同じ並びにあって、
目と鼻の先。

母親と鉢合わせしてしまったり、しないよね。

それだけが怖い。

そしてついにやって来た、
神山くんの誕生日当日。

みなみの家で、
みなみのお母さんに浴衣を着せてもらう。

「Aちゃん、ほんとに久しぶり。
元気にしてるの？
かける君は？
一緒に暮らしてるんだって？」

最初は質問攻め。

小さい頃、ほんとにしょっちゅう、
みなみの家で過ごさせてもらった。

ご飯やおやつをご馳走になった事も、
数えきれず。

いろんな人に助けてもらって、
なんとか生きてた。

「すごい可愛い浴衣。
Aちゃんに似合うね」

おばちゃんに褒められて、
ちょっと自信が湧いてきた。

紺地に大柄の色とりどりの花模様で、
華やか過ぎて、
自分では絶対に選ばない感じの。

でも、神山くんがすっごく気に入ってたから、
これにしたんだけど、
本音では似合ってるか不安だったの。