メリーゴーランド３ (ページ29)

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濱田先輩、4回生やっちゅうのにな、
なかなか就活に身が入れへんみたいやってんな。

「初日は私もついてくから」

約束して、今日は解散。

ほんまなら、駅までりえを送らんとあかんのに、
さっきのAの不安そうな顔が浮かんで、
ちょっと躊躇ってまう。

そしたら、濱田先輩が、
送ってってくれるって。

ほっとした。

寮までの帰り道。

シゲはいつもの元気なくて、
考え込んでる。

めっちゃ迷ってるんが、手に取るように分かるねん。

「神ちゃんは行ってみるやろ？
俺と違って、
ダンスも子供の頃からやってて本気やし」

「やるかどうかは分かれへんけど。
一回、見学には行きたい思ってる」

もうすぐ２１やし、
将来の事、そろそろ決めなあかんよな。

「うん。
俺も。
行くだけは行こかな」

Aに話したら、どんな顔するかな。

喜んでくれたら、嬉しいけど。

りえのお父さんがやってる事務所やから、
不安に思うかな。

寮の裏の自動販売機んとこに、
みなみちゃんがポツンと立ってんが、見えた。

シゲに会いに来たはずなのに、
俺らに気付いて、
隠れようとしんてんねん。