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「神ちゃん、ヤバイな。
今までのノート取れてない。
来週提出やのに」


男の子なのに少し高い甘い雰囲気のお友達の声。


「ほんまやな。
この単位落としたら、
俺ほんま留年するかもや。
親にしばかれる。
なんとかせな」


内緒話が聞こえてくる。


神様のピンチに遭遇しちゃってる、私。

手元のルーズリーフを確かめる。

私、ちゃんと事細かく取ってある。


いきなり声かけるとか、
そんなの無理だよ。


知り合いでもないし、
そもそも私はここの学生でもない。

ああ!でも。

困ってるの分かってて、
ほっとけないよ・・・




講義の間中、
神様に、どう声をかけようかずっと考えてた。


講義後半のノートも、
もしかしたら神様に見せるかもって、
手が勝手にすっごく綺麗に丁寧に書いてた。


講義が終わるチャイムの音が響く。


なんとか、神様にこのルーズリーフを渡さなきゃ。

手が震えてくる。


頑張れ、私。

一生分の勇気を振り絞るんだ。



そう思って立ち上がった時、
きらきらした華やかな女子二人組が、
私のすぐ隣を横切って。


「神山くん!重岡くん!
先週のダンスコンテストの予選どうだった?
上手くいった?」


明るく、いとも簡単に、はしゃいだ声で話しかけた。

少し甘えてるように感じるのは、
気のせい?

すごい。

もはや、同じ女子とは思えない。


ひらひらとふわふわ。

きらきら。

見てるだけで擬音が溢れてきそうな存在。


「ああ、うん。
やるだけやった。
それよりさ、
さっきの講義の前半のノートある?
俺、この単位、ほんまに落としそうやねん」


神様、必死な声だ。


「俺も!
お願い!」


重岡くんって呼ばれた友達が懇願してるのが聞こえる。


そっか。

この子たちに頼むのか。


私の出る幕なんかある筈もないよね。


「ごめん。
私たちも遅れて・・・」


残念そうに、目の覚めるような真っ黄色なスカートの方の女の子が言った。


黄色いスカートなんて、
私、一生着られる気がしない。

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作者名:fool | 作成日時:2017年5月29日 11時

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