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遠くからでもいい。
いつものあの笑顔が見られたら・・・
「分かった」
気付いたら、そう、答えてた。
バイト終わってすぐ。
強引なみなみに連れられて、
ついに経済学部の校舎に足を踏み入れてしまった。
大学内にはいつもいるけど、
校舎の中に入るのは初めて。
東館の２階の大講義室。
テレビドラマなんかでよく見る、
後ろへ行くほど、席が段々になって上がってく、
あの大きな教室。
ずっと憧れてた。
そこで今日、マクロ経済の講義があるんだって。
講義を聞いて、私に理解出来るのかな。
こんなに広い講義室じゃ、
もし彼がいても、
分からないかもしれない。
きょろきょろしちゃってたのかも。
「A、挙動不審過ぎ。
端の方に座ろ」
みなみが、私の袖口を引いた。
一番右端の後ろから二番目の席に着く。
別に悪い事してるわけでもないのに、
二人ともこそこそしちゃってる。
教授が入って来て、講義が始まった。
ルーズリーフを一枚、
みなみが譲ってくれたから、
それにノートを取ることに。
よくよく見たら、
テレビにも良く出てて有名な、
坂本教授だ。
私でも知ってる。
経済なんて難しいだろうなって思ってたけど、
先生の話が上手いせいか、結構面白い。
講義が始まって３０分過ぎた頃。
ギィーって鈍い音がして、
後ろの扉が開いた。
隙間から半分顔を覗かせたのは、
神様と、いつも一緒にいる友達。
・・・本当に会えちゃった。
それに！
二人して、そろそろっと入って来て、
私たちのすぐ後ろの席に着いた。
仕草だけで可愛い。
神様の、ダンスサークルのTシャツ以外の洋服を初めて見たけど、一言で言うと派手。
なんなら、上から下まで原色だらけ。
こっそり入って来たつもりだろうけど、
あれじゃあ注目して下さいって言ってるようなもんだ。
お友達の方は、
いたって普通の服装なのに、
雰囲気似てて、
二人でいて違和感ないのが不思議。
どうしよう。
身体中の全神経が背中に集まってる。
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作者名：fool
| 作成日時：2017年5月29日 11時
