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「重岡くんが、重岡くんが・・・」


泣いて声になってない。


かけるが、気を利かせて、


「俺、バイト行くね」


嘘ついて、自転車で出てった。





部屋に入って、
座るなり。


「重岡くん、彼女いるんだって。
今は卒業した大学の先輩なんだって。
やから、私にこれ以上ベタベタされるのは、
ほんま迷惑やねんって、言うの。
そんなひどいこと、女子に向かって言う?」


座布団を力任せに抱きしめながら、
号泣。


ううって唸ってる。


みなみの失恋パターンて、いつも同じなんだ。


片想いでも両想いでも。


あまりに一途に突っ走って、
相手がみなみを負担に思って、
終わり。


「彼女いるなんて嘘かもしれない。
私の事が面倒だから嘘ついたのかも。
せめてそう思いたい・・・」


複雑な女心だ。


神山くんから、
重岡くんに彼女がいるとかは、
聞いたことないな。


でも、ただ話題に出ないだけかもしれないし、
信憑性についてはなんとも言えない。


「でもどっちにしろ、
私の事が嫌いな事に変わりないじゃん」


そこで、ぼろぼろ泣き出して、
ついに声にならなくなった。


「みなみの事、嫌いなわけじゃないよ。
そんな風には見えないもん」


むしろ、照れてるだけで、
少しは好意を持ってるのかと。


私の勘なんて、あてになんないんだな。


「A、私、明日のバーベキュー行けない。
重岡くんの顔見るの辛すぎる。
でも会いたい・・・」


みなみの気持ち、痛いほど分かる。

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作者名:fool | 作成日時:2017年5月29日 11時

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