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精一杯頑張っただろうなと思われる、
カゴのバッグのプレゼントまで。
「かける、ありがと」
かけるが得意そうに鼻を触った。
これ、子供の頃からの、
かけるのくせなんだよね。
「かける、家に帰らなくていいの?」
最愛のかけるが帰って来なくて、
今頃、母が半狂乱になってるはず。
「大丈夫だよ。
あの家、息がつまるし。
俺には姉ちゃんがいるからさ」
でも、医学部の高い学費を出してくれてるのは両親だ。
かけるの分の生活費だって、
毎月ちゃんと振り込まれてくる。
「でも・・・」
言いかけた私の言葉をかけるが遮った。
「姉ちゃんが許しても、
俺は許してないから。
あんな毒親」
こんなに怒気を帯びたかけるの声を聞くのは初めてかもしれない。
呆然として何も答えられなくなった私に。
「ごめん。
俺には姉ちゃんがいればいいの」
すぐに言い直して、
かけるがいつもの笑顔を見せる。
親を捨てるのは、私だけでいいのに・・・
愛されなかった私のせいで、
かけるまで傷付けてる気がして、
悲しかった。
アパートに着いたら、
階段の一番下で、
みなみが座り込んで待ってた。
「A・・・」
涙声で涙目。
「みなみ、一体どうしたの?」
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作者名:fool | 作成日時:2017年5月29日 11時