メリーゴーランド (ページ33)

今日:28 hit、昨日:12 hit、合計:277,645 hit

３２ページ33

そんな風に言われたら、
おめでたい頭が暴走しそうになるから困る。

ここにいる私は嘘で塗り固めた幻みたいなものなのに。

「A、開けてみて」

みなみがわくわくした顔で言う。

いつの間にか重岡くんもすぐ近くに来てて、

みんなに注目されてる中、
みなみからのプレゼントの包みを開ける。

中に入ってたのは、
カジュアルなんだけど、
どこか女の子らしい水色のブラウス。

襟元がスクエアになってて、
夏っぽい。

ちょっとこれを着るのは気恥ずかしいかも。

「絶対に似合うよ。
これ着て、バーベキュー行こうよ」

みなみも、私がいつも同じ服を着てるの、
気にかけてくれてたんだ。

「ありがとう」

「ほんまや。
可愛いな、この服。
みなみにしてはセンスええやん」

重岡くんが言う。

神山くんの反応は良く分かんない。

ちらっと私を見ただけで、ぼんやりしてる。

似合わないって思ったのかな。

それか、好みじゃないのかも。

不安。

「なあ、神ちゃん」

重岡くんに聞かれて、やっと神山くんが我に返って。

「せやな」

一言だけ。

やっぱりあんまり好みじゃないのかも。

その時。

「A！」

照史が私を呼ぶ声が聞こえた。

校舎の影から手を振ってる。

待ち合わせは、ドーナツ屋の前なのに、
どうしたんだろう。