CHERRY. *sho sakurai* (ページ20)

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20.いってらっしゃいページ20

翔「りんご、いただきます。じゃあ、行ってくるね。」

そう言って翔クンはりんごの入ったタッパーを少しあげた。

A「い、いってらっしゃい…。」

いってらっしゃいっていうのもおかしいかと思ったけど、翔クンのいって来るね。につられてしまった。

翔「はは…。いいな、それ。」

眉を下げて笑うと、翔クンは爽やかな香りだけを残してドアの外へでて行った。

1人になった玄関でわたしはしばらく身動きをとれないまま立ち尽くしていた。

夢みたいな時間。

さっきまでふわふわしていた足元はまるで夢から覚めたように冷んやりしている。

キッチンを見るとシンクのカゴにはお皿とスプーンが二つ。

夢じゃ、ない。

翔クンがわたしの目を見てわたしの名前を呼んだ…。

わたしは、翔クンの目を見て翔クン、と呼べた。

翔クンの唇を触るしぐさ。

前髪を払う指。

話しながらコロコロ変わる表情。

全部わたしの目の前て起こった現実。

さっきまで翔クンが座っていたテーブルとソファの間をみると

ソファの下になにか黒いケース。

忘れ物？

手に取るとそのナイロン製のケースの中はタブレットだとわかった。

これ、必要なんじゃないかな。

携帯をとりだして翔クンにメールをすると、すぐに返信が来た。

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ごめん！
それ、明日使うんだけど…。

すっごい遅くなっちゃうんだけど、帰りに取りに行ってもいいかな？

今度こそ玄関先で帰ります(笑)

ーーーー

大丈夫だよ。
待ってます。

と、返信してお風呂に入った。