CHERRY. *sho sakurai* (ページ1)

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1.ハプニングページ1

こんな真近で芸能人というものを見たのは初めてだった。

・

もうすぐ今年も終りに近づくと恒例の歌番組。

友達のナオが観覧に当たったと、
初めて来たテレビ局。

隣には半べそをかいているナオ。

なぜなら

あたし達の席の前で、他のアーティストの歌を聞きながら出番を待っているのは、

あの、アイドルグループ

『嵐』のメンバーだったから。

ナオ「A～、どうしよう～！か、カッコイイ！」

A「ちょっと…、ナオ、泣いてるの⁈」

ナオ「だって～。翔クンが…。近い。」

んもう。
いい年して恥ずかしいなぁ。

ナオが嵐ファンだなんて初めて聞いたよ。

でも、
たしかにカッコイイ…。

わたしだってそれなりには知ってるけど。

松潤のドラマだって、ニノの映画だって見たけど、実物はキラキラしてて…。

後ろ姿しか見えないけど、彼らが動くと周りの空気もふんわり動いてドキドキする。

そんな時、

翔クンがチラッ、チラッと2回ほど顔を少し後ろに向いた。

それでもわたし達の顔をみるわけじゃないし、わたしはそんな翔クンの後ろ姿を見ていた。

すると、翔クンの頭が斜め上を見て大きなクリクリの瞳がわたしを見た。

ん？

わたしは思わずナオにでもするみたいに

ん？

と、そういう顔をしてしまった。

すると翔クンがちょっと戸惑ったように笑って、わたしの足元を指差した。

翔クンの指先につられるように自分の足元を見る。

あっ、うそっ！
ストラップがとれてる…///

A「あ、ありがとうございます…。」

小さな声でお礼を言ったけど、音楽と歓声で聞こえないかな？

と、思ったら顔は正面を向いたまま片手を顔の辺りまであげて応えてくれた。

ドキン…ドキン…。

心臓が少しずつ大きくなる。

かがんで赤いパンプスの足首にあるストラップを止めようとすると、

あ、あれ？

…どうしよう。
金具が壊れてるみたい。

多分、この席って靴まで見えるだろうし。

あーん！
どうしよう…。
ナオに席代わってもらおうかな。

周りの熱気と恥ずかしさで
顔が熱い…。

わたしがワタワタしていると、翔クンが近くにいたスタッフに耳打ちした。