振り向いて下さい。Ⅰ【Tatsuya.F】 (ページ35)

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▼幸せな錯覚ページ35

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ふっかがこんなにも念入りに計画を立てていたとは。

夢に見た水族館デート、
彼はいとも簡単に私を連れ出した。

『なんで、知って…』

深「んふふ」

『はぁ…もうこれだからふっかは、』

深「お褒め頂きありがとうございます」

微笑む彼に目を奪われつつ、
主役である魚たちを眺める至福の時間。

どちらからともなく手を絡ませて。

憧れのシチュエーション全てを攻略したくらい
有意義で、これから仕事を頑張る糧となった。

　

　

『…ありがとう、こんな私に時間割いてくれて』

深「何で2人になるとそんな弱くなっちゃうの(笑)」

『自信なんて…ほんとはずっと無い。
　いつも不安だよ。』

深「…？」

『今日、すっごく良い思い出になった。』

深「え、何…最後みたいな(笑)」

『そうするよ、こんな幸せな錯覚を体験できたし。
　もうお終いにする。』

深「は、」

家まで送ってくれた彼に伝えた。

車の免許も無い彼と、徒歩での帰宅も
悪いものではなかった。

薄暗い街灯に照らされた彼の顔は儚く、
何故か目に光りが浮かんでいた。

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