回る紙飛行機 Ren.N (ページ8)

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とにもかくにも、Aためとはいえこれだけ避けまくるのは罪悪感がでてきた。

てか、AもAで俺がおる時に家来いや。とか。無茶なことを思ったりもする。
結局のところ俺がAの顔が見たいだけ。

前は距離感がおかしかったらしいことが分かったし、ちょっと話すくらいなら問題ないやろと、自分に言い訳しまくってみる。

「あれ、廉どこいくん？」
「あー、ちょっと教科書借りに」
「現文か？せやったら正門のクラスが確か…」
「あー！！いい！いい！もう借りるやつ決まっとるから！」
「そうなん？……ああ！倉田さん？」
「ええやろ別に！誰でも！」
「ふ～ん」

にやにや。
大吾が行ってらっしゃ～いと大袈裟に手を振ってきやがる。
覚えとけよ。

なんとなく早足になる。
Aのクラスはひとつ上の階で、滅多に行かんから少し緊張する。

チラチラと女子からの視線を感じる気がするのは気のせいか。
感覚が研ぎ澄まされるくらいには敏感になっとって、俺、Aに会うだけなんにどんだけ気合い入れとんねん。
少し前やったら考えられへんな。

もう少しでAのクラスやってとこでAを発見する。
ラッキー。

「オイ、」
「倉田さん！」

この後に及んで「オイA」、としぬほど上から目線になってしまうのはもはや俺のDNAに刻まれている何かなので勘弁して欲しい訳だが、そんな声も知らん男によって割り込まれてしまった。
誰やアイツ。

「あ、神宮寺くん」
「今日の昼休み、いつも一緒にいる子委員会なんでしょ？お昼一緒に食べない？」
「え、いいの？」
「当たり前だよ。寧ろ俺、倉田さんと食べたいんだ」
「気を遣ってくれてありがとう。実は1人になっちゃうと思って困ってたの！」

神宮寺とかいうやつに笑いかけるA。
その光景を見て、モヤモヤと気持ち悪い感情が生まれる。
俺はアイツの傍にいれないのに。

「…廉？」

Aが立ちすくんどった俺に気付いた。
思わず走って逃げる。
後ろから「待って！」と聞こえたけれど、それと同時にチャイムも鳴る。

「倉田さん、授業始まっちゃうよ！」
「でも、」

「こら、そこの2人！はやく教室に入りなさい！」

Aは、追ってこない。

俺がAと昼飯を食べたらどうなる？
また周りからの視線で息苦しくなる。
Aが無視される。

なんで、こんなことになったんやろ。
ハッと自嘲するような笑みが零れた。

やっぱ俺、Aに関わらん方がええんやな。