回る紙飛行機 Ren.N (ページ11)

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普段はたいしていないくせに、こういう行事になると人がごった返す花火大会の会場。
家を出て駅へ向かうときに、通り道やから。
うん。
通り道やから、一応、念のため！
毎年Aとの待ち合わせ場所にしとった公園を覗いたけど、Aはおらんかった。

ホッとすると同時に、アイツ今日どうしとるんやろと気になってしょうがない状態になる。
友達と行くんかな。
よく一緒に昼飯食っとる子たち。
それか、……。
この間の神宮司とかいうやつの顔が浮かんできて、考えるのをやめた。

「廉くん！おまたせ！」
「おー」

ハルナは、楽しそうに手を振りながら走ってきた。
ピンク色と白の浴衣。
可愛いなあと思う。

「花火までまだ時間あるね。屋台見ようか」
「そうやな」

りんご飴を食べたいというので、人混みをかき分けながら目的の店を探す。
はぐれたらあかんなと思って時々後ろを振り返りながら進んでいるとハルナが不思議そうに首を傾げた。

「どうしたの？」
「え？後ろ、ちゃんとついて来とるかなと思って」
「アハハ！そんなに心配しなくても大丈夫だよ。小学生じゃあるまいし」

そっか。
確かに、ハルナは意外としっかりしとるから出店に気を取られて気付いたらはぐれとる、とかあんま想像つかん。
長年おっちょこちょいなAとおったせいで変に過保護になっとった。

「それに、こうやって手をつないでおいたら大丈夫でしょ？」

キュ、と手を繋がれる。
ニコリと微笑まれて、少し固まる。

俺はハルナのこの表情が苦手だ。
ハルナが俺のことを好いてくれとるのは分かっとるけど、なんだか、愛とかじゃなくて、別の何かも含まれとるような気がして。

「ねえ、廉くん」
「なに？」
「私、倉田さん以上になれてる？」
「……ハ、」

「あれ？何してんの、こんな道の真ん中で」

背後から、聞いたことのあるような声がきこえて振り向く。
あれは確か……

名前を思い出すより視界にそいつが入る方が早かった。
そこには、神宮寺と、Aがいた。