回る紙飛行機 Ren.N (ページ2)

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Aと俺が出会ったのは幼稚園のとき。

親父の仕事の都合で関西から東京に引っ越してきた俺は、周りから色物扱いされとった。
関西弁が珍しかったのか、幼稚園の奴らは
「廉くんは変な言葉を喋る」と言って近寄らず。
かといって幼い俺は標準語を喋るなんて器用なことはできんくて。

俺は一人やった。

ある日、紙飛行機を折っとったら、Aが喋りかけてきた。

「え！なあにその折り方すごおおい！」
「 …… 」

喋らんぞ俺は。
どうせ関西弁バカにするんやろ。

「わたしも折っていい？違う折りかたしってるの！」
「 …… 」
「ここをこう折って、ええと … んんん？」
「 …… へたくそ」

なんだとおーー！と怒りながらポカポカ殴ってくるA。
全然痛くない。

「へたじゃないもん！」
「折れてへんやん！」
「まだとちゅうなのー！」
「そのペースでいったら一生完成せんわ！貸してみ！」

ちょっと、いやかなり抜けてるAと自分で言うのもアレやけどしっかりしとる俺は相性が良かった。

「廉くんて天然だよね」
とAに言われたときはかなりの衝撃やったけど。
お前が言うか？

俺らはいつも2人でくっついてた。
家も歩いて行ける距離やったから俺らが仲がいいと知ったら、今度は親同士が仲良くなって更に俺とAの距離は縮まった。
それこそ、家族みたいに。

「A、ニンジン俺んとこ入れんなや！いい加減食えるようになれ！」
「おすそ分けなの！食べれない訳じゃないの！」

当たり前のように隣におるA。
送迎バスも、お昼ご飯も、お遊戯会の役も。
俺から離れようとしなかった。

最初は何やこいつと思ったけど、俺も居心地が良くて、何かとつけてはA。

「Aちゃん、廉くんと話してて怖くないの？」

タイミングが悪い。
引っ越してから数ヶ月たった頃。
俺のことを変、怖いと言ってた奴らがAに話しかけるのを偶然見てしまった。

俺、不安になっとる……？
最初が最初だっただけに、Aがなんと答えるか怖かった。
また、1人にはなりたくない。

「こわい？どうして？」
「廉くんて、変なことば喋るでしょ？言い方も怒ってるみたいだし」
「怖くないよ！優しいし、わたしは廉くんのことだいすき！」
「ほんとに？」
「うん！話し方もみんなと違ってかっこいいと思うなあ」
「かっこいい……」

その日から、A以外にも友達ができた。
ひとりじゃなくなった。

Aのことが、特別だと思った。

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