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それからの毎日は、
当たり前のように白布が助けてくれた。

徐々に自分で出来ることも増えていった。


さすがに他人行儀だから、と賢二郎と呼ぶようになったのは2週間が過ぎた頃。



「ねー、賢二郎。

そろそろ私の手伝いやめていいんだよ?」


かれこれあの日から時が立ち、

松葉杖が一本になった。


「やだ。」


どこまで責任感じてるんだろ。

そんなことしてたら、自分のことが疎かになる。
文武両道で秀才の賢二郎がそれはダメだ。



そばにいてくれるのは嬉しい。

天童先輩に指摘された、
好きになりそうで怖い、という思いが
どんどん色付き、濃くなっていき、

それは確かな恋心という形になったから。


けど、怪我に甘えて好きな相手に近づいているのは悪いことだと良心が咎めた。
迷惑はかけたくない。



明日からは、賢二郎が手伝う立場じゃなくても、
友達として話せたらいい。そう思っていた。


賢二郎は今日、部活が休みみたいで
私のお母さんが迎えに来るのを一緒に待っていてくれた。


「そんなに、責任感じることないのに。」


運動部な訳でもないのに。



「責任……ってのもあるけどさ、


Aとせっかく出来た接点が無くなるのが嫌なんだけど。」


私に向かい合って座り、頰杖を付きながら賢二郎は言った。


その言葉を文字どおり捉えてしまうなら、
賢二郎は少なからず私に好意を抱いている、ということになる。


そんなこと、こんなに、
なんでも出来て、女子にもモテる人から

あるわけないのに、胸の高鳴りを隠せなかった。


「私だって嫌だけど、


これからも友達として普通に話せば良くない?」


同じクラスで席も近いんだし。


そう言うと賢二郎は少しムッとした表情になる。
一つの机に向かい合うその距離は離れているとは言えない。


長いまつ毛に縁どられた綺麗に澄んだ瞳に吸い込まれそうになる。



「友達、じゃ嫌なんですけど。」


小さくそう呟いたかと思うと、
賢二郎は話し始めた。



「今から、俺の恋バナするから聞けよ。」



相変わらず、綺麗な顔に似合わない少し乱暴な喋り方だった。

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設定タグ:白布賢二郎 , 白鳥沢 , ハイキュー   
作品ジャンル:ギャグ
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真冬 - こういう小説はじめてです!ありがとうございました! (2021年7月25日 15時) (レス) id: 77b5772630 (このIDを非表示/違反報告)
- 白布のパンツ発言面白くて好き (2021年5月5日 22時) (レス) id: 0301fd6d5d (このIDを非表示/違反報告)
あめのゆき(プロフ) - 文が丁寧で分かりやすくて、ドキドキしながら読めるのに……『パンツがー』『パンツでー』ってシュール過ぎて面白かったです!! (2021年3月22日 11時) (レス) id: 12b0b9f3ea (このIDを非表示/違反報告)
- すっごいおもしろかったです! (2020年9月29日 16時) (レス) id: 82db78b5ea (このIDを非表示/違反報告)
おかか - めっちゃ面白かったです!恋愛物なのにパンツパンツ言っててツボりましたwwww (2020年7月28日 6時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アリス | 作成日時:2017年4月4日 21時

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